痩せるために運動をしている人もいると思います。まずは痩せません。運動は健康のためであり、体重減少にはほとんど寄与しません。
高強度インターバルトレーニング:HIIT(High-Intensity Interval Training)は脂肪燃焼して痩せるようなことを書いてある記事もあるかもしれません。効果がゼロとまでは言いませんが、期待しているほどの減量効果は無いと思います。
今回の研究の対象は年齢20〜59歳、非喫煙者、太りすぎまたは肥満(BMI25〜40)の91人(男性27人、女性64人)です。参加者を4つのグループにランダムに割り当てました。高強度インターバルトレーニング(HIIT)と習慣的な食事、非常に低炭水化物高脂肪の食事(VLCHF)と習慣的な身体活動(定期的な運動トレーニングなし)、VLCHF食とHIIT、コントロール(習慣的な食事と身体活動、定期的な運動トレーニングなし)のグループです。
運動の強度の指標は自覚的運動強度(RPE)のBorgスケールというものを使っています。(ここ参照)(図は原文より)
スケール | 自覚する疲労度 | 運動強度(%) | 心拍数 |
6 | 0 | 60 | |
7 | 非常に楽である | 7.1 | |
8 | 14.3 | 80 | |
9 | かなり楽である | 21.4 | |
10 | 28.6 | 100 | |
11 | 楽である | 35.7 | |
12 | 42.9 | 120 | |
13 | ややきつい | 50.0 | |
14 | 57.2 | 140 | |
15 | きつい | 64.3 | |
16 | 71.5 | 160 | |
17 | かなりきつい | 78.6 | |
18 | 85.8 | 180 | |
19 | 非常にきつい | 92.9 | |
20 | 100.0 | 200 |
上の図のようにHIITは、3分間隔の高強度(BorgのスケールRPE 18–19)と、それに続く3分間隔の低強度(RPE 9–11)の運動で、4週間ごとに時間が長くなっています。最初は1回の運動が4分間の高強度、3分間の低強度でしたが、最終的には8分間の高強度、7分間の低強度となりました。
上の図はそれぞれのグループの食事のエネルギー摂取量と3大栄養素の量を示しています。VLCHF食では糖質が極端に少なく50g以下で、脂質がその分多くなっています。12週間後どうなったでしょうか?
上の図は糖質制限(VLCHF食)のみのグループとVLCHF食+HIITグループのケトン体(βヒドロキシ酪酸)の推移を示しています。HIITを行った方がVLCHF食だけよりもケトン体が多くなっていますね。そしてどちらも2~4週間でピークとなり、徐々にどちらも低下しているように見えます。適応して、ケトン体質になってきて、上手くケトン体が使えるようになってきたのだと思います。
VAT(内臓脂肪)はVLCHF食グループおよびVLCHF食+HIITグループで大きく減少しています。一方HIITのみのグループでは有意な減少は認められませんでした。
体重もHIITのみは減少しませんでした。VLCHF食グループで5.6kg減、VLCHF食+HIITグループで8.0kg減でした。
上の図は変化量をグラフにしたものです。先ほどと同様の結果です。除脂肪体重、つまり筋肉量を反映した体重がVLCHF食グループおよびVLCHF食+HIITグループで減少していますが、これは水分が減少したことによると思われます。
私も冬場には雪が積もるため、外のランニングは行っておらず、心肺機能を維持するためにHIITのひとつ、タバタ式トレーニングを行っています。(「駅伝3連覇の青山学院大学もやっていた タバタ式トレーニング」)もちろん、これで体重変動はありません。
アスリートを除いて、恐らく体重を決めるのは95%~98%くらい(この数値に根拠はありません)が食事によるもので、残りが身体活動によるものだと思います。
特に肥満の人は拙著「肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか 「糖質過剰」症候群II」でも書いたように、運動しても痩せません。ジムなどのトレーナーは運動を続ければ痩せる。というかもしれませんが、食事を変えなければ無理です。肥満は糖質過剰症候群です。糖質過剰摂取をやめないと体重が減らないだけでなく、様々なリスクが増加します。
「Effects of a Very Low-Carbohydrate High-Fat Diet and High-Intensity Interval Training on Visceral Fat Deposition and Cardiorespiratory Fitness in Overfat Individuals: A Randomized Controlled Clinical Trial」
「過脂肪の個人の内臓脂肪沈着と心肺フィットネスに対する超低炭水化物高脂肪食と高強度インターバルトレーニングの効果:無作為化対照臨床試験」(原文はここ)
HITもいいですが、最近原始的な縄跳びを
running前に継続してます。
縄跳びしたから痩せるわけではもちろんありませんが。
田畑先生ご自身が、筋肉博士の山本義徳さんのYouTubeチャンネルで「HIITでは痩せない」と語っておられるインタビュー動画があります。
https://youtu.be/KzqXqbgQDS0
それでも多くのトレーナーが「みるみる脂肪が燃焼する」「絶対痩せる」などと謳って、中には高強度には全然見えないトレーニング動画(30〜45分も続けられるような普通の有酸素運動)まで投稿し続けてますが。
大阪高橋さん、コメントありがとうございます。
HIITだけでなく、基本的には運動では痩せませんね。
しかし、トレーナーはウソをわかっていて痩せると言っている人が多いのでしょう。
ビジネスですからね。
>おそらく体重を決めるのは95%~98%くらい(この数値に根拠はありません)が食事によるもので、残りが身体活動によるものだと思います。
私も経験上、その様に思います。
低糖質、高脂肪、かつ絶食時間を長く取る食事でケトン体は増えます。
しかし、活動量が少ないと同じ食事をしていてもケトン体値がそれほど上がらない事に最近気づきました。。
もう一つは、活動量が少ないと、早朝空腹時血糖値がじわじわと上がってくることです(私は2型糖尿病です)。
活動は、体内に残っているブドウ糖をより多く消費し、足りないエネルギーを脂肪から得るためでしょうか。
運動は、減量ではなくケトン体を高く保ち、かつ血糖値の安定に寄与している(=健康度が上がる)と言えると思います。
因みに、ライズアップのトレーニングメニューは、食事と運動ですが、減量は食事(糖質制限)によるものであり、運動は筋肉をつけて見栄えをよくするためと言っています。
西村 典彦さん、コメントありがとうございます。
代謝は運動強度によっても異なるでしょうね。
いずれにしてもちゃんと体重を減らしたいのであれば、食事を変えるしかありません。
西村様
糖質制限、断食時間、ケトン体、血糖値、運動
の関係がスッキリ了解できました。
ありがとうございます。