日本のED(勃起不全)有病者数調査2019というのがありました。(ここ参照)
1998年の調査 | 2019年の調査 |
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30歳〜79歳のED有病者数(全国推計) | 30歳〜79歳のED有病者数(全国推計) |
軽度型ED 約1,380万人 | 軽度型ED 約1,238万人 |
中等度型ED 約870万人 | 中等度型ED 約660万人 |
完全型ED 約260万人 中等度と完全型を合わせると約1,130万人 | 完全型ED 約644万人 中等度と完全型を合わせると約1,304万人 |
およそ20年前と比較すると、完全型のED有病者数は2倍以上に増加しているようです。しかも、20代における中程度以上のEDは14.6%、30代は13.5%、20~30代全体で14.1%と若年層の7人に1人は深刻なEDの悩みを抱えているのです。
軽度EDを含めればなんと20~79歳の約60%がEDを抱えているようです。
「EDの主な原因・要因と思われるものはなんですか?」の問いには、もちろん1位が「加齢」と答えており、62.5%でした。2位は「精神的ストレス」で43.8%、3位は「飲酒」で15.8%、次いで「睡眠不足」が11.6%でした。
しかし、実際には加齢はあるとしても、多くはストレスや飲酒などに責任を押し付けたいというのが本音ではないでしょうか?そしてまさか食事によってEDが起きているなんて思ってもいないでしょう。
本当の原因は私は当然、糖質過剰摂取にあると思っています。加齢についても実は糖質過剰摂取の悪影響が蓄積してEDになってしまうのだと思います。
2型糖尿病は、EDの2番⽬に⼀般的な危険因⼦であり、EDは糖尿病患者の50〜75%で発症し、⾮糖尿病の人よりも糖尿病患者で3倍頻繁に発生すると言われています。
今回の研究ではEDで受診した1,332人について分析しています。平均年齢は54.3歳で、すでに255人、19.1%が前糖尿病/糖尿病または内分泌機能障害の治療を受けていました。これらの患者のうち、210人(82.4%)は糖尿病、12人(4.7%)は性腺機能低下症、4人(1.6%)は高プロラクチン血症、29人(11.4%)は甲状腺機能低下症または甲状腺機能亢進症でした。
残りの1,077人のうち、これまで知られていなかった内分泌および血糖障害の有病率は30%(323人)でした。血糖障害の有病率は17.3%(56人)で、32人(57.1%)が糖尿病、24人(42.9%)が前糖尿病でした。新たに糖尿病と診断された患者は、グループ全体と比較してより重症のEDを示しました。
EDは糖尿病の新たな診断の可能性が3.3倍になりました。EDは内分泌/血糖障害の初期のマーカーであり、これまで知られていなかった機能障害が患者の4分の1以上で発見されました。
つまり、EDは独立した病気、症状ではなく、何らかの内分泌機能障害などの一部なのです。そして、その多くは糖質過剰症候群でしょう。糖質過剰摂取ではテストステロンも低下します。
では、バイアグラでEDを治療していれば良いのでしょうか?
バイアグラなどのホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬を常用していると眼障害のリスクが高くなるようです。漿液性網膜剝離(SRD)、網膜静脈閉塞症(RVO)、虚血性視神経症(ION)について分析しました。(この論文参照)
SRD、RVO、およびIONの患者は、対照群に比べて高血圧(24.6% vs. 8.9%)、糖尿病(38.1% vs. 26.1%)、冠動脈疾患(36.1% vs. 24.0%)、睡眠時無呼吸(15.5% vs. 10.6%)の有病率が高くなっていました。
PDE5阻害薬の常用者ではSRD+RVO+ION複合リスクが1.85倍高く、個別の分析でも、常用者ではSRD2.58倍、IONは2.02倍でした。PDE5阻害薬の処方回数が5回未満の人と比較して、5回以上の人ではリスクがいずれも高くなっていました。
多くの人は様々な病気に薬を使えば、改善または完治すると勘違いしています。しかし、ほとんどは対症療法にすぎません。そして副作用のない薬は存在しません。薬で症状は軽減する可能性がありますが、改善しているわけではない場合も多いのです。長く薬を使っていればその分副作用が現れる可能性も高くなるでしょう。そして、糖質過剰摂取を続けていれば、別の症状が出てきてしまいます。症状を覆い隠すような治療でごまかすのではなく、根本的な原因に対処する必要があります。
EDは心血管疾患の初期の兆候でもあります。(「勃起不全(ED)と冠動脈疾患との関連」参照)
立(勃)たなくなったら糖質制限です。(「立(勃)たなくなったら糖質制限?」参照)
「Erectile dysfunction as a marker of endocrine and glycemic disorders」
「内分泌および血糖障害のマーカーとしての勃起不全」(原文はここ)