頸動脈プラークに関係するのはLp(a)よりも血糖値

一般的には心血管系の専門家の間ではLp(a)はアテローム性動脈硬化症の危険因子とされています。しかし、恐らくはLDLコレステロールと同様に本当は大して関係ないと思われます。

以前の記事「最近LDLコレステロールからLp(a)およびApoBにシフトしてきている その2」「その3」で書いたように、Lp(a)は飽和脂肪酸を炭水化物や一価不飽和脂肪酸置き換えで増加するし、エネルギー制限(カロリー制限)でも増加します。専門家はまたこのことを「パラドックス」と表現するのかもしれません。

今回の研究では、4,335人の脂肪肝患者を対象に頚動脈のプラークとLp(a)との関連を耐糖能と共に分析しています。(図は原文より)

上の図は図のAがFBG(空腹時血糖値)に従って4つのグループに分けたときの頸動脈プラークの有病率です。図BはLp(a)に従って3つのグループに分けたときの有病率、図Cは空腹時血糖とLp(a)を複合したものです。

空腹時血糖が高いほど頸動脈プラークの有病率は高くなっていますが、Lp(a)は30mg/dLを超えて有意ではあるものの有病率は50%未満でしかありません。

複合した有病率を見てみると、Lp(a)が30を超えると有病率が高いものの、空腹時血糖値の上昇の方がリスクを高くするように見えます。空腹時血糖が正常のLp(a)30以上よりも空腹時血糖が126mg/dLを超える糖尿病のDグループのLp(a)10未満の群の方が頸動脈プラークの有病率は高いのです。

上の図は脂肪肝患者の空腹時の血糖値の範囲とLp(a)による、頚動脈プラークがある可能性です。糖尿病で Lp(a)≧30 mg/dLの脂肪肝の人は、正常血糖でLp(a)10未満の人と比較して頸動脈プラークの可能性が5.810倍で、様々な調整をしても4倍でした。

そして糖尿病がある場合、Lp(a)が10未満であっても頚動脈プラークの可能性は1.563倍にもなっています。空腹時血糖が正常だとLp(a)が30以上でも頚動脈プラーク可能性は有意ではありません。

つまり、Lp(a)よりも重要なのは耐糖能障害の程度であるとも言えます。脂肪肝は糖質過剰症候群の代表ですので、糖質過剰摂取が原因です。そして、もしかしたら、脂肪肝を改善するための間違った食事、飽和脂肪を減らしたり、エネルギー摂取量を減らしたりすることが糖質を増やして逆効果となり、Lp(a)が増加してしまっているのかもしれません。

ただ「ますます怪しいリポタンパク質(a)Lp(a) 糖尿病との関係」で書いたように、Lp(a)が高い方が糖尿病やインスリン抵抗性などが起きにくいという研究もあります。しかし、これは糖質過剰摂取状態での話です。結局Lp(a)って何なんでしょう?

しっかりと脂質を摂取し、糖質制限をしっかりすればLp(a)は低下するでしょう。しかし、数値を整えることは目的ではありません。

「Glucose metabolism status modifies the relationship between lipoprotein(a) and carotid plaques in individuals with fatty liver disease」

「グルコース代謝状態は、脂肪肝疾患患者のリポタンパク質(a)と頸動脈プラークとの関係を変更する」(原文はここ

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