2型糖尿病の寛解には薬ではなく糖質制限

一般的には糖尿病は進行性の病気で、薬剤による治療も必要で、そのうちどんどん薬が増えて、さらに悪化してしまえばインスリンの注射が必要になると思われているでしょう。また、一度なってしまうと一生の病気だとも思われているでしょう。

しかし、それは医療が慢性疾患と呼んでいるビジネスモデルであり、根本原因に対処することなく、ずっと患者を患者のまま医療につなぎとめているだけです。

今回の研究では、Norwood surgery(ノーウッド外科、イギリス郊外の診療所らしい)で糖質制限のプログラムを導入した結果を示しています。食事の炭水化物を減らすためのアドバイスをHbA1cが6.5%(48mmol/mol)を超える2型糖尿病の患者に定期的に行いました。8年間の期間の終わりまでに、ノーウッド外科には473人の2型糖尿病が登録され、そのうち186人(39%)が低炭水化物アプローチを選択しました。このうち114人(61%)が男性で、ベースライン時の年齢中央値は63歳でした。追跡調査の平均期間は33か月でした。37.6%は診断から1年以内の人々でした。(図は原文より)

上の図はベースラインとプログラム後の最近のフォローアップにおける様々なパラメータの変化です。体重97kg から86kg に減少し、平均体重減少は -10kg となりました。HbA1cは7.9%(63mmol/mol)から6.4%(46mmol/mol)に低下しました。中性脂肪は186mg/dL(2.1mmol/L)から124mg/dL(1.4mmol/L) に低下しました。収縮期血圧は、140mmHgから132mmHgに低下しました。総コレステロールは190mg/dL(4.9mmol/L) から166mg/dL(4.3mmol/L) に減少しました。

上の図は寛解群(緑)と非寛解群(赤)間の体重変化の分布です。寛解群では5kg以上体重減少した人が多いようですが、5kg未満でも寛解した人がいます。逆に20kg以上減量しても寛解できなかった人もいます。

 

上の図は寛解群(左側)と非寛解群(右側)のベースラインおよび最新のHbA1c 値です。ベースラインでHbA1cがそれほど高くない方が寛解しやすい感じですが、そうでない人も何人もいますね。寛解群と非寛解群を比較したベースラインのデータで有意差を示した指標は2つだけです。HbA1cと診断からの期間です。

 

糖尿病と診断されてからの期間のベースラインは、寛解群では2か月であったのに対し、非寛解群では72か月でした。つまり、早いうちに糖質制限を始めないと寛解まで到達する可能性が低くなるのかもしれません。標準治療を受けてグズグズ糖質過剰摂取を続けていると、そのうち寛解できなくなるでしょう。上の図のように診断から1年以内であれば77%が寛解しています。ただ、15年を超える人でも20%は寛解しています。だから糖尿病歴の長い方もあきらめないでください。全体としては低炭水化物アプローチを選択した人の51%が寛解しています。ものすごい数字です。

標準治療では寛解は100人に1人です。(「糖尿病の標準治療では患者の寛解はせいぜい100人に1人」参照)

この研究の成功は、継続的なサポートです。糖質制限を一時的にしていても、段々と元の悪い食習慣に戻る人は多いでしょう。食事を戻せば代謝は戻り、血糖値や体重も悪化します。糖質制限は一時的な食事法ではなく、一生の食事法です。

糖質過剰摂取を続けて、糖尿病の薬を使っている限り、寛解はかなり難しいでしょう。糖尿病は糖質過剰症候群です。

「What predicts drug-free type 2 diabetes remission? Insights from an 8-year general practice service evaluation of a lower carbohydrate diet with weight loss」

「薬物を使用しない2型糖尿病の寛解を予測するものは何? 減量を伴う低炭水化物食に関する8年間の一般診療サービス評価からの洞察」(原文はここ

2 thoughts on “2型糖尿病の寛解には薬ではなく糖質制限

  1. 某中古車販売業者の
    顧客ではなく企業の利益優先
    (というより、そもそも
    顧客利益などは眼中に無し)
    のビジネスモデル。

    医療業界も同様でないことを
    願います。

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