いろいろくだらない研究がありますね。このような論文を書く人は暇なのでしょうかね?論文を書くために研究をしていて、その内容の質は問われないのでしょうか?
今回の研究では食塩が2型糖尿病リスクを上げるというものです。どうしても糖尿病を糖質だけのせいにはしたくないようです。イギリスのバイオバンクに登録している成人40万人以上を対象に塩分摂取量について調査しました。調査の質問の質が非常にチープで、タッチスクリーンのアンケートを使用して収集され、参加者は「食べ物に塩を加えますか?」と質問されました。調理に使用する塩は含まないのです。各参加者は「まったくない/めったにない」「ときどき」「たいてい」「常に」の選択肢を選びます。
もう、この時点で変ですよね?調理に使用する塩がものすごく多く、後から加えることは全くないということもありますし、食べる料理の種類によりますしね。日本の食事の仕方とは違うので、塩を後から加えるというのがどういったものかがよくわかりません。また加える頻度よりも加える塩の量の方が問題だと思うのですが。私は肉や刺身を塩を付けて食べることもあるので、どれだけ摂取しているかよくわかりません。
まあ、とりあえず見ていきましょう。
食品に塩を加える頻度が低い人と比較して、頻度が高い人は女性が少なく、BMIやCRPのレベルが高く、教育レベルも収入も低く、現在喫煙者である可能性が高く、定期的な身体活動を行う可能性が低い集団です。さらに、食品に塩を加える頻度が高い人は、DASHスタイルの食生活を遵守する可能性が低くなりました。DASH食はいわゆる高血圧予防の食事です。私はもちろんDASH食を推しているわけではありませんが、これを遵守する可能性が低いというのは、この研究で言えば、健康的な食事を心がけていないことを意味するのでしょう。
いつも食事の研究で多いのですが、比べる集団があまりにも違いすぎます。塩を加える頻度が高い人はもともとが不健康集団です。そうであれば、2型糖尿病になることも不思議ではありません。
あまり頑張って読む必要はありませんが、もう少し見てみましょう。(図は原文より、表は原文より改変)
上の図は様々な調整をしたモデルですが、どれも食品に塩を加える頻度が高いほど2型糖尿病のリスクが増加しています。多変量調整では最も頻度の高い「常に」で1.28倍です。
次に塩を加える頻度とは別に、尿中のナトリウム排泄量からの24時間の尿中ナトリウム排泄量の推定値については、多変量調整モデルにおいて、排泄量に応じて5つのグループに分けたときに、排泄量が増加するにつれ、下の表のように2型糖尿病のリスクが高くなっていました。
五分位 | |||||
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
推定24時間尿中ナトリウム排泄量 | |||||
多変量調整済み | 1 | 0.95 (0.88-1.02) | 1.04 (0.97-1.12) | 1.27 (1.18-1.38) | 1.51 (1.38-1.65) |
でも、実際の排泄量がグループごとでどれくらい違うかがどこにも書かれていません。
ただ、食品への塩を加える頻度と推定24時間ナトリウム排泄量が関連しているという図があります。下の図を見てみましょう。
食品に塩を加える頻度が「まったくない/めったにない」群ではナトリウムが3.19g、「ときどき」群では3.23 g、「たいてい」群で3.27g、「常に」群では3.30gでした。最小と最大の差は何と0.11g!誤差範囲でしょう。
さらに尿中のナトリウム排泄量は食事によってもかなり変動するので、その検査を受ける際にどのような食事を摂っていたかによってかなり違いが出てしまうのが難点です。1回だけの測定では評価は難しいかもしれません。
実際には塩分制限はインスリン抵抗性を増加させます。(「心血管疾患リスクが高いほど塩分制限をしてはいけない」参照)今回の研究はその真逆で、塩分を増加させると2型糖尿病のリスクが増加するという結果になっています。代謝とは違う結果が得られた場合、研究方法に問題があることの方が多いでしょう。
今回の研究はまさにそれです。食塩を加える頻度でグループ分けして、摂取した食塩の量、追加した食塩の量がわからないのに、塩分摂取と糖尿病の関連を導くのにはかなり無理があります。それに気づいているのか、気付いていないのか?恐らくわかっていても論文を出すための研究なので、結果なんてどうでも良いのかもしれません。
また、糖尿病では塩分制限をすると死亡率が上がってしまう可能性があります。(「糖尿病での塩分制限は心血管疾患による死亡率を高くするかもしれない」参照)
私はいっぱい良質の塩分を摂ります。
そういえば、最近肉の摂取と2型糖尿病についても何か研究がありましたね。次回以降で見てみることにしましょう。
「Dietary Sodium Intake and Risk of Incident Type 2 Diabetes」
「食事によるナトリウム摂取量と 2 型糖尿病発症のリスク」(原文はここ)
熊害が激増しています。
NHKのクローズアップ現代でも
取り上げられ、印象的だったのは、
「熊にとって人間の食べ物は
麻薬と同じ(味を覚えたら、危険など
省みない)」との話。
人間の食品の糖質は橅など木の実
の比ではないのでしょう。
糖質依存恐るべしですね。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
人間の食べているものの味を覚えたら大変でしょうね