ナイアシンとインスリン抵抗性

以前の記事「ナイアシンは安全か? その1」で、ナイアシンの耐糖能に対する有害性について書きました。ナイアシン5年間で当初非糖尿病患者43人あたり、1人が糖尿病を患うことになります。これはスタチンと同様かそれ以上です。(スタチンは50人に1人糖尿病になります。ここ参照)

ちょっと古い論文ですが、今回の研究では健康な平均年齢28歳の男性11人を対象に、1日ニコチン酸2gを飲んでもらったときの耐糖能に関する評価をしています。2週間後どうなったでしょうか?(図は原文より)

上の図はインスリン感受性指数です。明らかにニコチン酸を飲んでいる方がインスリン感受性は低下しています。

上の図は様々なパラメータの変化です。血糖値は99mg/dLから103とほとんど変化していませんが、インスリンは10.4μU/mlから21.8へと倍増。プロインスリンも大幅増加、グルカゴンは減少しました。(インスリン値は図の数値に0.139をかけると日本の単位になります。)

上の図は空腹時インスリンの変化です。ニコチン酸により大きく増加しています。

 

上の図はブドウ糖に対するインスリンの急性反応です。インスリン分泌は2相性と考えられていますが、静脈内にブドウ糖を直接投与しないと観察されません。上の図はブドウ糖を静脈内に入れたときのものです。ニコチン酸摂取により、第1相のインスリン分泌が増加しました。インスリン抵抗性が増加した分をインスリン分泌増加で補おうとしているようです。

他の研究でも、ナイアシン1日1gで、空腹時血糖値が10.6%増加、インスリンは61.8%増加、C-ペプチドは46.1%増加したというのもあります。(この論文参照)

人間が進化の過程で食べてきたものに、単体の栄養素の塊は存在していません。単体の栄養素が高濃度で大量に吸収されたとしたら、人間の代謝はどうなるかわかりません。天然の食材は様々な栄養素、ビタミンやミネラルなどが複雑に複合して含まれています。その組み合わせや比率などが重要なのではないかと考えています。

インスリン抵抗性を増加させる、インスリン分泌を増加させるナイアシン。はたして健康に良いのかどうか?自分で考えて判断してください。

「Increased β-Cell Secretory Capacity as Mechanism for Islet Adaptation to Nicotinic Acid-Induced Insulin Resistance」

「ニコチン酸誘発インスリン抵抗性に対する島の適応機構としてのβ細胞分泌能力の増加」(原文はここ

One thought on “ナイアシンとインスリン抵抗性

  1. 「単体の栄養素の塊が、身体に
    良いとは限らない」
    とは言え摂ってしまうのは、
    サプリやマルチビタミンがほぼ精神薬の
    役割を担ってしまってるのでは
    ないでしょうか?

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