双子を対象とした雑食とビーガン食の心臓代謝への影響

どうしてもビーガンが健康的であると言いたい人がいます。

今回の研究では、一卵性双生児を対象として、雑食(つまり普通の食事)またはビーガン食で検査データがどうなるかを調べています。

参加者は22組の双子44人(平均年齢39.6歳、平均25.9)。双子のどちらかが健康的なビーガン食、もう一方が健康的な雑食を 8 週間摂取しました。「健康的な」という表現さえよくわかりませんが。

食事介入は、研究の最初の4週間は、全国規模の食事宅配会社 (Trifecta Nutrition) からすべての食事が無料で提供されました。4週間の食品配達と保健教育者のカウンセリングの後、参加者は自炊する際に食事を最大限遵守するために購入し準備すべき食品の量と種類を説明されました。(図は原文より)

上の図はベースラインの状態です。LDLコレステロールは平均で114.6mg/dLです。空腹時インスリンは12.8μU/mlです。

上の図は紺色が雑食、オレンジがビーガン食で、それぞれのパラメータの8週間での変化率を示しています。雑食の変化はどれも有意ではありません。ビーガン食で有意に変化したのはLDLコレステロール、ビタミンB12、体重です。体重がちょっとだけ減少しています。70.9が69.5kgになっただけです。

LDLコレステロールが低下していますが、110.7から95.5mg/dLです。これによって心臓代謝の健康度が上がりますか?

やはりビーガンでビタミンB12は10%程度低下しています。これが健康的?

雑食と比較してビーガンでは、LDLコレステロール、インスリン、体重が有意に差が出ました。グループ間の差は出ましたが、インスリンは雑食で逆に増加してしまっています。食事介入で提供された食事の内容が悪すぎたのではないでしょうか?

また、HDLコレステロールに関しては有意ではありませんが、ビーガンで60.3から56.3mg/dLに低下していまっています。LDLコレステロールが低下することが心臓代謝に良いというのであれば、HDLコレステロールの低下は心臓代謝に悪いはずです。

今回の研究ではTMAOも測定していますが、TMAOの上昇が心血管疾患のリスクを高くすると一般的には考えられています。(私はそう思っていませんが)今回外れ値を除くと有意にグループ間で差が出ました。でも、真ん中の図のように、食事介入で提供された雑食の食事を摂ったらTMAOがベースラインより増加したのです。そうであれば提供した食事の問題ではないでしょうか?

魚は健康的と考えられていますが魚はTMAOを増加させますし、食物繊維豊富な地中海食でもTMAOが増加します。(「肉は本当に心血管疾患をもたらすか?」「食物繊維の増加はうんことおならを増やす」参照)

TMAO前駆体であるコリンやカルニチンは人体に重要です。肉食を嫌いなグループがTMAOを目の敵にしているだけのように見えます。

ベジタリアンやビーガンが観察研究で少し健康的に見えるのは、肉食の非ベジタリアンが健康的な生活を送っていない人の割合が高い可能性があるからでしょう。実際には健康的な食事かどうかは別として、ベジタリアンやビーガンは健康を大いに気にして、その食事を選択しているはずです。

例えばある研究ではベジタリアンの様々な死亡率の低下を示していますが、様々なタイプのベジタリアンのグループでは、非ベジタリアンと比較して、高学歴で、結婚している可能性が高く、飲酒量が少なく、喫煙量が少なく、運動量が多く、痩せている傾向がありました。(ここ参照)観察研究には非常にありがちなグループ間の健康に対する態度の違いが死亡率などに影響してくることは不思議ではありません。

今回の研究は介入研究なので、意味があるかもしれませんが、8週間と非常に短く、しかも数値だけの結果しかわかりません。インスリンと体重以外(それらの変化もわずかですが)、それが健康的な数値の変化である証拠は全くありません。

以前の記事「ベジタリアンは終末糖化産物(AGEs)が増加してしまう」「ビーガンは酸化ストレスが増加する」「ビーガンはどう?」「ビーガンは骨折リスクが高い」などで書いたように、ベジタリアンやビーガンは様々な悪影響があります。

人間は肉を食べて進化してきました。なぜ肉を嫌う必要があるのでしょうか?

「Cardiometabolic Effects of Omnivorous vs Vegan Diets in Identical Twins: A Randomized Clinical Trial」

「一卵性双生児における雑食食とビーガン食の心臓代謝への影響 ランダム化臨床試験」(原文はここ

One thought on “双子を対象とした雑食とビーガン食の心臓代謝への影響

  1. ビーガンも糖質制限も、側から見れば
    同じ様な物と思っている人がほとんど
    ではないでしょうか。
    いまだに糖質制限とカロリー制限の
    区別がつかない人がとても多い
    ことからも、医療食品業界は
    当分安泰ですね。

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