「その1」では、インフルエンザに対する麻黄湯の効果に関して、小児について書きました。今回は大人の場合です。
今回の研究では、インフルエンザ治療における麻黄湯の有効性を確かめるために、タミフル(オセルタミビル)またはリレンザ(ザナミビル)と比較する無作為化試験を実施しました。発熱後48時間以内にインフルエンザ迅速診断キットで陽性となった成人患者28人(男性14人、平均年齢28.7歳)が対象です。ちなみに12人はワクチン接種をしている患者です。相変わらずワクチン効かないですね。(図は原文より)
上の図はAが発熱期間、Bは症状のある期間です。左から麻黄湯、タミフル、リレンザです。発熱期間の中央値は麻黄湯29時間、タミフル46時間、リレンザ27時間で、麻黄湯群ではタミフル群よりも有意に発熱期間が短くなりました。
患者の症状スコアの合計で表される症状持続時間の中央値は、それぞれ83時間、87時間、94時間で有意差はありませんでした。
上の図はそれぞれの患者の熱の推移です。Bの麻黄湯群の人はほとんどが順調に体温が低下していっています。しかし、Cのタミフル群では3日目や4日目に再度発熱を呈する人が何人かいます。Dのリレンザ群でも一度解熱した後再度発熱している人が見受けられ、5日目に39度以上の発熱があった人もいました。麻黄湯の効果は個人差が少なく、抗インフルエンザ薬では個人差が大きいとも考えられます。
上の図は症状の推移です。グループ間でそれほど違いはないですね。
上の図は免疫系、サイトカインの濃度の推移です。サンプルが少ないので、何とも言えない部分がありますが、3日目でも麻黄湯はまだIFN-αが他の群よりも高めです。また、IL-10はタミフル群で3日目に高くなっています。IL-10は免疫を抑制する役割なので、やはり、タミフルの解熱や症状の減少が免疫抑制で起きている可能性を示唆しているかもしれません。
上の図は1日目、3日目、5日目のウイルスが陽性であったかどうかです。当然1日目はどの群も100%陽性です。3日目では50%前後という感じでしょうか?5日目で15%前後ですね。たまたまグループ分けで麻黄湯群にB型のインフルエンザはいませんでした。しかし、抗インフルエンザ薬の2群にはB型がいて、それぞれのグループの2人中1人が5日目でもウイルス陽性です。もしかしたら、抗インフルエンザ薬はB型に対する効果が弱いのかもしれませんね。
子供の場合は異常行動などのことを考えれば、抗インフルエンザ薬を回避すべきだと思いますが、大人の場合は自分で考えて選択して良いと思います。(もちろん、大人でも異常行動が出る可能性はあるでしょう。)発熱を含めての症状の改善は麻黄湯も抗インフルエンザ薬も違いはほとんどありません。しかし、麻黄湯だと耐性ウイルスもできないでしょうし、抗インフルエンザ薬の免疫抑制による、次の年のインフルエンザに再度かかってしまうリスクの増加を考えれば、使用する意味はないでしょう。
もちろんワクチンなんて効果はありません。感染したらしたで仕方がありません。数日寝てれば良いのです。そしてもちろん、食べられるものは何でも食べて良いわけではありません。以前の記事「糖質制限でインフルエンザを発症しにくい理由とは?」で書いたように、糖質摂取はインフルエンザウイルスにエサを与えているようなものです。お粥は止めましょう。
いつでも糖質制限ですね。
「A randomized, controlled trial comparing traditional herbal medicine and neuraminidase inhibitors in the treatment of seasonal influenza」
「季節性インフルエンザの治療における伝統的な漢方薬とノイラミニダーゼ阻害剤を比較するランダム化比較試験」(原文はここ)
お粥やうどん、ましてや
スィーツなどの
「何でも良いから食べ易い物」
には気をつけて、
日頃からの糖質制限と
いざ体調不良の時はジタバタせずに
寝るのが大事ですね。
麻黄湯もですが「風邪には葛根湯」も
良いのですか?