子宮頸がんのリスクを言うならワクチンだけでなく経口避妊薬についても言及すべきでは?

子宮頸がんがHPVによって起こるとされているので、産婦人科医たちはワクチン接種を推奨しています。ワクチンで子宮頸がんがのリスクが減らせるということで推奨するのであれば、彼ら産婦人科医がたくさん処方している経口避妊薬の子宮頸がんのリスクにも言及すべきだと思います。

今回の研究は、ホルモン避妊薬と子宮頸がんとの関連の28件の研究のシステマティックレビューです。結果は下のようです。(図は原文より)

上の図のように、すべての研究の結果を統合すると、子宮頸がんの相対リスクは使用期間が長くなるにつれて増加しました。経口避妊薬の使用期間がおよそ5年未満では1.1倍、5~9年で1.6倍、10年以上の場合では2.2でした。

上の図は、避妊薬の使用期間と現在や最近の使用(8年未満)と8年以上前の使用との比較です。

使用期間が5年未満の場合、使用中止から8年未満であれば、子宮頸がんリスクは1.4倍でした。使用中止から8年以上だと1.1倍に低下しました。

使用期間が5年以上の場合、使用中止から8年未満であれば、子宮頸がんリスクは2.1倍でした。使用中止から8年以上だと1.4倍に低下しました。

つまり、避妊薬の中止後もしばらくの間はリスク増加が続いてしまいます。

 

上の図は、注射避妊薬の使用期間と子宮頸がんリスクです。5年以上続けるとリスクは1.2倍になりました。

上の図は、HPV陽性の女性のみの経口避妊薬と子宮頸がんリスクについてです。5年未満ではリスク増加はなく、5~9年で1.3倍、10年以上で2.5倍になりました。

では、HPV陰性の女性ではどうでしょうか?2件の研究しかなく、1件はリスク増加がないというものでしたが、もう1件の研究はHPV陰性でも経口避妊薬の使用期間に応じてリスク増加が認められました。(論文はここ、下の表もここより)

リスク比(95%CI)
使用期間
HPV抗体陽性
01·00 (0·1–7·8)
1~4年1·74 (0·8–3·8)
5~9年0·76 (0·3–2·1)
≥10年3·92 (1·1–14·1)
すべての女性
01·00 (0·5–2·1)
1~4年1·63 (1·2–2·2)
5~9年1·86 (1·3–2·6)
≥10年2·83 (1·9–4·2)
HPV陰性
01·00 (0·4–2·2)
1~4年1·61 (1·2–2·2)
5~9年2·13 (1·5–3·1)
≥10年2·76 (1·8–4·2)

上の表のように、HPV陽性の場合、子宮頸がんリスクは10年以上の使用で3.92倍になりましたが、9年以下ではリスク増加はありません。しかし、HPV陰性では未使用者と比較すると、1~4年でも1.61倍、10年以上だと2.76倍にもなりました。

つまり、HPV感染とは関係なく、ホルモン避妊薬自体が子宮頸がんのリスクを増加させる可能性があります。

避妊薬の処方を受ける場合、この子宮頸がんのリスク増加の説明はあるのでしょうか?それともそのリスクを話してしまうと、薬を使う人が減って、ビジネス的に困るので、説明されないのでしょうか?

子宮頸がんワクチンの話はいっぱい出てくるのに、薬のネガティブな話はあまり出てきません。

安易な避妊薬の使用はいくつかのがん(乳がんや肝臓がん)のリスクを上げる可能性があります。もちろんいくつかのがん(大腸がんや、子宮体がん、卵巣がん)のリスクは下げる可能性もあります。しかし、何のがんになるのかは選択できるわけではありません。リスクを知ったうえで使用するかどうかを決めなければなりません。

がん以外にもホルモン避妊薬のリスクはあります。それについては次回以降で。

「Cervical cancer and use of hormonal contraceptives: a systematic review」

「子宮頸がんとホルモン避妊薬の使用:システマティックレビュー」(原文はここ

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