アセトアミノフェンは一部のがんのリスクを増加させる その4 腎臓がん

アセトアミノフェン(カロナール)は一部のがんのリスクを上げるという研究がいくつもあります。「その1」「その2」「その3」では、アセトアミノフェンによる血液系のがんのリスク増加について書きました。今回は腎臓がんについてです。

ある8,420件の腎臓がん症例を含む20件の研究(アセトアミノフェン 14 件、アスピリン 13 件、その他のNSAIDs 5 件)のメタアナリシス(ここ参照)では、アセトアミノフェンの定期的またはいかなる使用も腎臓がんのリスクが1.28倍増加していました。アメリカ以外の研究では、アスピリンの定期的またはいかなる使用においても腎臓がんのリスクが1.17倍有意に上昇していました。その他のNSAIDs の定期的またはいかなる使用も、腎臓がんのリスクが1.25倍増加しました。

NSAIDsを10年以上使用している人では、使用していない人と比較すると、腎臓がんのリスクが2.92倍増加し、特に女性では3.51増加しました。

痛み止めを年単位で飲んでいる人は要注意ですね。

他の研究では、薬局(店頭)でのアセトアミノフェンの使用のみが腎臓がんと関連していました。(ここ参照、下の表もここより)下の表のようにアセトアミノフェンを使用している人は腎臓がんの可能性が1.35倍になり、10年以上の使用で2.01倍になりました。

アセトアミノフェンの使用と期間
OTC オッズ比
いいえ1.00
はい1.35
 1年未満1.08
 1~5歳未満0.79
 5~10歳未満1.37
 10年以上2.01

また、米国前立腺がん、肺がん、大腸がん、卵巣がんスクリーニング試験(PLCO)の参加者98,807人のデータを分析しました。下の表のように、アセトアミノフェン使用者は腎臓がんの可能性が1.68倍でした。この集団の分析では10年未満の方が有意で、2.09倍でした。

アセトアミノフェンの使用と期間
いいえ1.00
はい1.68
 10歳未満2.09
 10年以上1.08

もう一つ見てみましょう。下の図はアスピリン、、NSAIDs、アセトアミノフェン、フェナセチンの常用(1か月以上の間、週2回以上と定義)による腎臓がんの可能性と、1週間の最大量との関連性を示しています。(図は原文より)

どのような鎮痛剤であっても、常用により腎臓がんの可能性は増加し、アセトアミノフェンでは1.7倍でした。アセトアミノフェンの1週間の最大量が2gを超えると、有意に腎臓がんの可能性が高くなり、2~4gで1.7倍、4~8gで1.8倍、8g以上では2.1倍でした。毎日1回400mgを3回食後に飲めば、1日1.2gなので、1週間で8gを超えます。

アセトアミノフェンに限らず、鎮痛剤の常用はできる限り止めましょう。そもそも鎮痛剤は常用するものではありません。常用しなければ日々の生活に支障がある場合、何かが間違っているのでしょう。一番は食事の間違いです。食事の改善は自分自身でしかできません。薬に依存する前に、自分自身でできることをすべきでしょう。

「Regular use of analgesics is a risk factor for renal cell carcinoma」

「鎮痛剤の常用は腎細胞がんの危険因子である」(原文はここ

One thought on “アセトアミノフェンは一部のがんのリスクを増加させる その4 腎臓がん

  1. 薬での治療と副作用は常に
    トレードオフ(一方を追求するともう一方を犠牲にしなければならないという、二律背反の状態)の関係ですね。

    副作用を抑えようとマッチポンプ的な
    処方も、、、

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