食事の研究は全く不正確

食事の研究ってものすごく多いですよね。「〇〇を食べるとがんになりにくい」とか「〇〇を食べると高血圧に良い」とか「〇〇の摂取を減らすと死亡率が上がる」とか。

でも、私は毎回のように、食事の研究を記事にするとき、その研究のデータの質が低いことにできる限り言及することにしています。

過去24時間、1週間、1年間などの食事について聞かれて、まともに、正確に答えられる方はいますか?24時間であれば何とかなりそうですが、2日前の食事を思い出すんなんて結構難しく、1週間なんてのは絶対無理で、1年間のことを尋ねられても、毎日違うものを食べているので、もう食事アンケートの答えは想像の世界で答えてしまうでしょう。

これまでの報告でも、何度も食事の研究の不正確さは指摘されています。例えば、ある研究では、太った人ほど過少申告レベルが高いと報告しています。(ここ参照)また、ある研究では、過少報告と過剰報告の発生率は、それぞれ57.9%、5.3%としています。(ここ参照)

過少に報告する人がこんなに多いのは、人間の心理は、少しでも自分を良く見せたいと思ってしまうのでしょうか?

自己申告に頼れば、食事摂取量を正確に評価するのが無理なのは誰が考えてもわかります。しかし、医療の論文をたくさん書きたい人にうってつけなのか、非常に不正確な食事アンケートを使った研究が後を絶ちません。

今回の研究では、人のエネルギー消費量を直接測定する二重標識水法と自己申告のエネルギー摂取量がどこまで違うかを分析しています。

4歳から96歳の6,497人の総エネルギー消費量(TEE)の 測定値と自己申告による調査として、合計18,567人を対象とした、公開されている2つの食事調査、イギリスの国民食事・栄養調査(NDNS)とアメリカの国民健康栄養調査(NHANES)を比較しました。(図は原文より、表は原文より改変)

過小評価の割合 予測範囲内の割合 過大評価の割合
NDNS
男児 43.02 56.50 0.48
女児 39.71 58.77 1.52
成人男性 62.8 36.56 0.64
成人女性 61.53 38.05 0.42
男性全員 54.25 45.18 0.57
女性全員 54.02 45.18 0.80
NHANES
男児 35.35 57.46 7.18
女児 32.89 56.5 10.61
成人男性 50.40 44.90 4.69
成人女性 53.61 42.65 3.74
男性全員 46.61 48.07 5.32
女性全員 48.49 46.07 5.44

上の表は、自己申告のエネルギー摂取量がTEEの測定値と比較して、過少だったか、過大だったかを示しています。全体的には50%程度が過少申告です。過大申告は非常に少ないです。

子供の方が大人よりも過小申告が少ないのも、まだ心が汚れていない証拠でしょうか?

上の図はBMIと予測TEE と自己申告のエネルギー摂取量の差との関連です。BMIが高くなるほど過少申告の度合いが大きくなりました。

大人だけで考えれば、自己申告の50~60%の人は過少申告です。そんなデータを使って分析しても、正しい分析ができるとは思えません。

また、たとえ自己申告のエネルギー摂取量がある程度正確だったとしても、その摂取したものが全て吸収されるとも限りません。そうすると、摂取量を尋ねても、それが全て体内で本当に代謝されるかどうかがわかりません。

食事の研究を考える際、それが生物学的、生理学的、病態生理的に辻褄が合うのかどうかを考える必要があるでしょう。私も食事研究を取り上げなわけではありませんが、そこを考えて研究を採用しています。

食事研究をまともに鵜呑みにしている人は少ないと思いますが、お偉い先生が本やネットの記事などで取り上げると、あたかも本当のことのように思えてしまう人もいるでしょう。本当はデータが非常にいい加減な食事研究を使って何んらかの情報を発信している人は、そのデータが不正確だときっと知っているでしょう。しかし、それでもそれを大きな声で発信しているのは、自分の思っている都合に良い方向に誤誘導したいからなのでしょう。

特にハーバード系は肉が嫌いで、植物系が大好きなので、食事研究を使って誘導している人も多いかもしれません。

以前の記事「糖質を制限すると寿命が縮まる? 冗談のような研究」「「糖質制限ダイエットは絶対やってはいけない3つの理由」って本当? その1」などで何度も取り上げた糖質制限を否定するような研究は、まさにその典型的な例です。こんないい加減なデータで、糖質制限をすると死亡率が高まると言ってしまうのですから。しかもそんないい加減な研究でも一流と言われる医学雑誌に掲載されてしまう、というのは裏があり、闇があるのでしょう。

これからも、何らかの情報が発信されたときに、その情報の元のソースを見なければなりません。そして、その情報の元が、食事アンケートの研究であれば、話半分~10分の1くらいで受け取りましょう。

もちろん、私もみなさんを誘導しているかもしれません。私は私の都合の良い方向ではなく、人類にとって良い方向に向かうためだと、私自身は考えています。ご自身でよく考えて判断してください。

「Predictive equation derived from 6,497 doubly labelled water measurements enables the detection of erroneous self-reported energy intake」

「6,497の二重標識水測定から導き出された予測式により、誤った自己申告のエネルギー摂取量を検出することができる」(原文はここ

2 thoughts on “食事の研究は全く不正確

  1. 普段は「エビデンス!」「二重盲検」等
    述べている研究者なのに、
    食事の研究だと極端に緩くなって
    しまうのは、きっと食事の研究では
    利益誘導難しいから、でしょうか?

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      食事の研究で、長期間、多くの人で、十分に介入をして試験を行うことはまず不可能です。
      だから緩くせざるを得ないでしょう。
      でも、医療への誘導の入口にもなりますし、食品業界の利益誘導も可能でしょう。

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