代謝機能障害関連脂肪肝疾患(MASLD)に対してもDASH食に糖質制限が圧勝

以前の記事「高血圧を改善させるというDASH食に糖質制限が圧勝」「高血圧、耐糖能障害、肥満の3つを抱える人に対する糖質制限とDASH食の比較」でも、書いたように、高血圧の予防、改善のためにアメリカで提唱された食事法、DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)は効果がショボいです。ミネラル(カリウム・カルシウム・マグネシウム)や食物繊維を増やし、飽和脂肪酸やコレステロールを減らした食事ですが、根本的には糖質過剰摂取です。

以前は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)と言われてきた病名が代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)と変わりましたが(「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病名が変わるけど…」参照)、このMASLDに対して、糖質制限(ケトン食)とDASH食、どちらが効果があるでしょう。

今回の研究では、24人のMASLD患者(女性16人、男性8人)を対象に、ケトン食群とDASH食群に分けました。平均年齢はケトン食群で37.4歳、DASH食群40.2歳で、平均BMIはどちらも31前後です。

ケトン食群は、脂質とタンパク質の摂取を制限せずに炭水化物の摂取を制限し、ケトジェニック食(1日1500kcal、カロリーの約5%が炭水化物、70%が脂質、25%がタンパク質)は、研究期間中、自宅に配達されました。また、ケトン食の食品リストが渡され、提供されたもの以外の食品を摂取しないように指示されました。

DASH食群は対照群で、高血圧予防のための食事療法(DASH食)の構成要素について説明を受けました。DASH食は、カリウム、カルシウム、マグネシウムを豊富に含む食品(1日1500kcal、カロリーの約60%が炭水化物、25%が脂質、15%がタンパク質)で構成され、カロリー計算に関する指導も受けます。また、DASH食のパターンに加えて、外部から追加の食品を摂取しないこと、および1日1500kcalのエネルギー制限を守ることを指導されました。

8週間後どうなったでしょう?(図は原文より、表は原文より改変)

上の図は、左がコントロールのDASH食群、右がケトン食群で、体重(A)、腹囲(B)、体脂肪量(C)、内臓脂肪面積(D)の平均変化率を示しています。どのパラメータもケトン食群で大きく低下し、DASH食群は低下してもわずかでした。ケトン食の圧勝ですね。

パラメータ ケトン食 DASH食
第0週 第8週 第0週 第8週
収縮期血圧(mmHg) 132.3 ± 12.2 122.9 ± 11.2 130.8 ± 15.8 135.2 ± 14.07
拡張期血圧(mmHg) 84.1 ± 11.9 79.3 ± 11.06 85.8 ± 10.6 83.9 ± 13.3
体重(kg) 82.9 ± 11.1 76.8 ± 11.4 78.3 ± 12.6 76.1 ± 12.1
BMI(kg/  31.9 ± 2.7 29.4 ± 2.9 31.1 ± 3.9 29.6 ± 3.2
腹囲(cm) 102.4 ± 9.6 93.5 ± 5.5 96.8 ± 12.9 92.6 ± 10.9
ヒップ周囲(cm) 108.5 ± 8.3 101.6 ± 6.7 108.4 ± 10.9 104.3 ± 8.4
筋肉量(kg) 27.09 ± 4.9 26.2 ± 5.03 25.6 ± 5.3 25.2 ± 5.3
体脂肪量(kg) 34.2 ± 5.8 29.3 ± 6.6 31.4 ± 8.1 30.07 ± 7.2
内臓脂肪面積(cm² 138.5 ± 18.5 110.5 ± 32.7 124.04 ± 26.3 120.3 ± 23.3
AST(U/L) 29.2 ± 11.6 22.6 ± 4.8 19.8 ± 6.1 20 ± 4.5
ALT(U/L) 44.08 ± 21.3 28.6 ± 12.1 24.3 ± 10.3 23.1 ± 8.7
空腹時血糖値(mg/dL) 98.9 ± 18.7 94.1 ± 9.4 92.5 ± 10.3 92.6 ± 11.3
コレステロール(mg/dL) 213.1 ± 50.2 203.9 ± 36.9 197.8 ± 30.4 198.3 ± 41.01
中性脂肪(mg/dL) 136.3 ± 76.5 82.8 ± 44.6 132 ± 61.1 117.5 ± 70.8
LDL(mg/dL) 138.9 ± 39.5 135.5 ± 31.04 128.3 ± 33.1 124.8 ± 43.5
HDL(mg/dL) 55 ± 12.3 49.9 ± 10.2 54.9 ± 13.5 56.1 ± 13.09

上の表は、8週間でのそれぞれのパラメータの変化です。ケトン食群では、収縮期血圧が-9.42 mmHg低下しました。しかしDASH食群は有意ではありませんが、やや上昇しています。DASH食って、高血圧の予防、改善のための食事だったはずですが…

筋肉量はどちらも変化なく、肝機能の指標となる、ASTとALTはケトン食群で大きく低下しましたが、DASH食は変化なしです。中性脂肪もケトン食群で大きく低下しましたが、DASH食はわずかです。ただ、不思議なことに、HDLは今回ケトン食群で低下してしまいました。なぜかはわかりません。

いずれにしても、代謝異常は脂質、飽和脂肪酸の過剰摂取で起きるのではなく、糖質の摂り過ぎが原因です。エネルギー(カロリー)を制限すれば、その分糖質摂取量も減少します。それにより、エネルギー制限でも少しの改善はあります。しかし、糖質制限やケトン食に勝つことはできません。

脂肪肝の患者に、エネルギー制限を勧めたら、その医師は患者を改善させるつもりがないということです。

脂肪肝にもやはり糖質制限ですね。

「Effect of a Ketogenic Diet on Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease (MASLD) Progression: A Randomized Controlled Trial」

「ケトジェニックダイエットが代謝機能障害関連脂肪肝疾患(MASLD)の進行に及ぼす影響:ランダム化比較試験」(原文はここ

2 thoughts on “代謝機能障害関連脂肪肝疾患(MASLD)に対してもDASH食に糖質制限が圧勝

  1. 低タンパク食が、(ネズミさんの)
    脂肪肝改善に有効との
    今朝のNHKニュース見ました。

    私はぶれずに糖質制限一択!

鈴木武彦 へ返信する コメントをキャンセル

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