トラマドールは鎮痛薬として、比較的よく処方されています。商品名としてはトラムセットやトラマールなどの名前です。しかし、この薬は弱い麻薬です。以前の記事「トラムセット、トラマールは依存性があるかもしれない」「トラマドールはやはり麻薬」で書いたように、依存性もあると考えられます。
そして、依存性だけでなく、トラマドールは死亡率を上げる可能性もあります。アメリカでは小児や一部の18歳以下に対しては禁忌の扱いです。
今回の研究では、膝、股関節、または手の変形性関節症の50歳以上の患者88,902人(平均年齢70.1歳)が対象です。変形性関節症と診断され、初回処方としてトラマドール(44,451人)、ナプロキセン(12,397人)、ジクロフェナク(6,512人)、セレコキシブ(5,674人)、エトリコキシブ(2,946人)、またはコデイン(16,922人)を受けました。その後1年間追跡しました。(図は原文より)
上の図は横軸がフォローアップの期間、縦軸が死亡率です。それぞれトラマドールとその他の薬を比較しています。Aはナプロキセン、Bはジクロフェナク、Cがセレコキシブ、Dがエトリコキシブ、Eはコデインとの比較です。
コデイン以外は有意にトラマドールの方が死亡率が高くなっています。ナプロキセンの1.71倍、ジクロフェナクの1.88倍、セレコキシブの1.70倍、エトリコキシブの2.04倍です。
他の研究も見てみましょう。(ここ参照)トラマドールの使用がさまざまなリスクグループにおける死亡率と関連しているかどうかを分析しました。韓国のデータベースで2004年1⽉1⽇から2013年12⽉31⽇までの間に死亡前に少なくとも1回トラマドールの処⽅を受けた19,443⼈を特定しました。
トラマドールの使用は死亡する可能性が1.77倍になりました。特に75 歳以上の高齢者では2.61倍、腎臓病では2.90倍、肝臓疾患では2.09倍、心血管疾患では2.05倍でした。
もちろん痛みはつらいものです。しかし、痛みを感じる前にできることがあるはずです。変形性関節症のある人の多くが糖質過剰摂取による肥満や過体重です。腰痛のある人も太っている人が多く、または運動もせずに、痛みがあると過度に安静にしたりしている人も多いでしょう。筋肉が減少したり、筋肉の質が悪ければ、腰痛も起こりやすくなります。
しっかりと食事を改善するだけで痛みはかなり減少するでしょう。症状が出る前から食事の改善が必要です。薬に頼れば、その分のリスクも引き受けなければなりません。リスクは軽い副作用から、死亡まで様々です。
あなたの体はあなたが食べたものでできています。
「Association of Tramadol With All-Cause Mortality Among Patients With Osteoarthritis」
「変形性関節症患者の全死亡率とトラマドールの関連性」(原文はここ)
再生医療の世界では、
糖尿病患者の膵臓機能の復活も
進められているそうです。
成功すれば、糖質依存のまま
永らえる世の中になるのでしようかね?
「依存」は「制限」
より強力なのですね。