以前の記事「糖質制限とLDLコレステロール上昇」「糖質制限とLDLコレステロール上昇4 中性脂肪値が非常に低い場合のLDLコレステロール値の計算式」でLDLコレステロール値は計算式で求めていることを書きました。
私の最近のデータで計算してみます。
Friedwaldの式: LDLコレステロール= 総コレステロール – HDLコレステロール– 中性脂肪÷5
=355-106-32÷5=242.6
Iranianの式:LDLコレステロール=総コレステロール/1.19+中性脂肪/1.9–HDLコレステロール/1.1–38
=355÷1.19+32÷1.9-106÷1.1-38=180.8
と、かなりの数値の違いです。
計算が面倒な方は下のフォームに入力してください。
しかし現在、私の施設の検査データは直接LDLコレステロール値を測定しております。その値は 「212」 です。丁度上の2つの式の中間の値です。LDL直接測定法は日本動脈硬化学会のホームページでもまだ精度に問題があることを認めております。2012年でもまだFriedwaldの式を採用しております。
人間ドックの2012年に書かれた論文では、LDLコレステロール値の直接法と計算式の問題点を述べています。その結論は、
「LDLコレステロール値の直接値とFriedwaldの式の値に強い相関を認めたが、中性脂肪値が400以下の範囲で中性脂肪値が高くなるに伴い、計算値は直接値より低くなる傾向を示した。直接値と計算値は強い相関が認められたが、中性脂肪値が低い範囲では、%誤差が大きくなり、大きなバラつきが認められた。」
と書かれています。私のように糖質制限をして、かなり中性脂肪値が低い場合は直接法と計算式ではかなりバラつくということです。Iranianの式が最も低い値を示しています。どれを信じるかは非常に難しいですが、LDLコレステロール値を重要視していない私は、どれでも構いません。
しかし、みなさんのデータが計算式なのか、直接測定しているのかは、確認しなければわかりません。気にされる方は検査のときに聞いてみてください。
それにしても、こんなバラついた値や精度に問題のある数値をもとに多くの人にスタチンが処方されているのが現状なのです。いい加減!
先日の記事「中性脂肪値と血糖値だけで様々な疾患のリスクを評価できる」で書いたように、中性脂肪値の方がよほど重要だと思います。
「一般健診におけるLDL-C(直接法、F式法)を用いた脂質代謝異常判定の問題点」(原文はここ)