糖質はがんのエサです。しかし、通常の病院での食事は糖質過剰の食事です。糖質を抑える気はありません。それどころか元気を付けるために食べられるものは食べて良いというスタンスのことも多いでしょう。がんに対しケトン食なんて考えている医師は非常に少ないと思います。
今回の研究では、乳がんの患者に対して3か月間のケトン食の効果や安全性を分析しています。局所進行性または転移性の乳がんで計画された化学療法を受けた60人の患者を2つのグループに分けました。
3か月ケトン食を食べる群と通常食の群です。(図は原文より)
上の図はそれぞれの群のベースライン、3回目の受診、最終の受信時の体重、BMI、空腹時血糖、ケトン体、体脂肪率を示しています。どの項目もケトン食群でベースラインに比べて有意に変化し、通常食の群では変化していません。ケトン食群では体重が約6㎏減少し、BMIは約2.5減少、空腹時血糖も約15減少、ケトン体は大幅に増加し、体脂肪率も6%以上低下しました。
上の図は血液検査での脂質の項目を表しています。青いラインがケトン食群、緑が通常食群です。ケトン食群ではLDL、総コレステロールは増加し、HDLはやや低下しました。中性脂肪は変化しませんでした。通常食群ではLDLは変化せず、総コレステロールは一度下がってまた増加、中性脂肪は大きく増加、HDLはやや低下でした。肝機能、腎機能は両群とも正常範囲でした。
上の図は術前補助化学療法(手術の前に抗がん剤の投与による治療)の患者のケトン食群と通常食群の生存率です。ケトン食群では25か月以上の間で亡くなった方はいませんでしたが、通常食群では25か月で生存率60%でした。3か月のケトン食後の食事に関してははっきり書かれておらず、不明ですが、治療時にケトン食を行うことは非常に大きな効果と意義があると考えられます。
そして、炭水化物(糖質)のエネルギー量が総エネルギーのたった6%のケトン食は3か月間であっても安全に行えるのです。
がんが見つかったらすぐに、手術を受ける前からケトン食をはじめ、入院中・治療中もずっとケトン食を続ければ、非常に大きな効果が得られると思います。ケトン食後はそのまま続けられれば続け、ちょっと緩めてスーパー糖質制限食であっても恐らくは今までの通常の治療よりも高い生存率が認められると思われます。
しかし、肝心の医療側の理解がなくてはなかなか難しくなります。せめて患者に選択させてくれると良いのですが。私であれば、できる限り病院の食事は糖質を含まないものだけを摂り、あとは売店を利用したり、家族に届けてもらい、なんちゃってケトン食を実践すると思います。自分の体ですから。
いずれにしても「血糖値の上昇は乳がんの予後を悪化させる」「糖質を摂ると乳がんの再発リスクが高くなる!」「果糖は乳がんの細胞増殖を増加せてしまうかもしれない」などで書いたように、乳がんに対して糖質は非常に危険なものです。がんは糖質過剰症候群です。乳がんになったら一生スーパー糖質制限を行った方が良いと思います。
「Feasibility, Safety, and Beneficial Effects of MCT-Based Ketogenic Diet
for Breast Cancer Treatment: A Randomized Controlled Trial Study」
「乳がん治療のためのMCTベースのケトン食療法の実現可能性、安全性、および有益な効果:無作為化対照試験」(原文はここ)