乳がん手術後のリンパ浮腫と肥満

乳がんの手術後に手術した側の上肢のリンパ浮腫を来すことがあります。

もちろん、手術や治療要因によってリンパ浮腫になる可能性もあるのですが、それ以外の要因として肥満があります。

今回の研究では、乳がん手術後のリンパ浮腫の患者94人とリンパ浮腫のない対照94人を比較しています。

その結果、リンパ浮腫の女性は、対照よりも太りすぎである可能性が有意に高かったのです。(オッズ比2.29)さらに、多変量解析でも、太りすぎであることだけがリンパ浮腫と有意に関連していました。(オッズ比5.58)

その他の研究でも、リンパ浮腫の発症とBMIの増加は有意な相関を示しました。BMIが1増加すると、リンパ浮腫の可能性1.09倍高くなります。(オッズ比1.09)

さらに他の研究でもBMIが25未満の患者と比較して、BMIが30以上の患者のリンパ浮腫の可能性は2.9倍以上でした。(オッズ比2.93)(図は原文より)

上の図は横軸がBMI、縦軸は腕の体積の変化を示しています。腕の体積の相対的な増加(%増加)はBMIと相関関係がありました。 BMIが高い患者は、手術後に腕の体積の変化が大きくなる傾向を示しました。

肥満はリンパ機能障害を引き起こし、リンパ浮腫のリスクを高めると考えられます。そのメカニズムは次回以降に記事にできたらします。

マウスではすでにケトン食がリンパ浮腫に効果があるという研究があります。(ここ参照)

そうすると糖質制限が乳がん手術後のリンパ浮腫を予防したり、改善したりする可能性が高いと思われます。肥満は糖質過剰症候群です。リンパ浮腫で困っているのであれば、まずは糖質制限を始めてみましょう。

 

「Case-control study to evaluate predictors of lymphedema after breast cancer surgery」

「乳がん手術後のリンパ浮腫の予測因子を評価するための症例対照研究」(原文はここ

「Obesity is a risk factor for developing postoperative lymphedema in breast cancer patients」

「肥満は乳癌患者において術後リンパ浮腫を発症する危険因子である」(原文はここ

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