内臓脂肪が新型コロナウイルスの重症化と関連している

肥満と単に言っても、全てが同じではありません。逆にBMIが正常範囲内であっても、肥満ではないとも言えません。それは内臓脂肪が関連しています。

BMIが正常範囲内でも内臓脂肪だけ多い人はかなりの割合存在していると思います。日本では「隠れ肥満」なんていう呼び方をしている人もいるでしょう。街を歩いているとき、お腹の周りだけ異常に脂肪が付いて、ポッコリとお腹が出ている人を大勢見かけます。

私も以前はそうでした。中年になればお腹が出てくるのは当たり前、と考えていました。もうあの頃には戻りたくありません。

新型コロナウイルス感染での重症化は高血糖や肥満と関連していると考えられています。肥満の中でも特に内臓脂肪の方が危険なようです。フランスのこの研究は、平均BMIが26.1の165人の患者について分析しています。重症化とは人工呼吸器または死亡を意味しています。そしてCT検査で内臓脂肪と皮下脂肪の面積が計算されました。(表は原文より改変)

重症COVID-19の説明変数オッズ比(単変量)オッズ比(多変量)
性別(男性)2.76(1.29–6.33、p = 0.012)1.88(0.80〜4.72、 p  = 0.160)
年齢(10年)1.08(0.89–1.33、p = 0.431)1.02(0.81〜1.30、p  = 0.845 )
皮下脂肪(dm21.08(0.78〜1.47、p = 0.638)0.87(0.53–1.41、 p  = 0.574)
高内臓脂肪(128.5cm2以上)2.57(1.59–4.22、p <0.001)2.97(1.60–5.72、p = 0.001)

上の表はそれぞれの因子での重症化の可能性です。高内臓脂肪はCTで128.5cm2以上を境界線として使用しています。皮下脂肪とは関連しておらず、内臓脂肪が高いと重症化の可能性は3倍近くになります。

日本で内臓脂肪肥満という定義はCT検査で内臓脂肪が100cm2です。ネットにあったちょっと古いですが、ある企業の日本人の健診を受けた人のデータでは、意外(?)と日本人の内臓脂肪も高いことがわかります。(図はここより)

上の図の対象は平均年齢54.6歳(29~71歳)です。これを見ると、男性の内臓脂肪の平均がすでに100を超え、先ほどの新型コロナの研究の128.5程度です。女性はやはり皮下脂肪型が多く、内臓脂肪が少なく見えます。

新型コロナの重症化リスクは男性で高いですが、もしかしたらもともと男性では内臓脂肪が高いことと関連しているのかもしれません。

内臓脂肪は様々な疾患と関連しています。(「内臓脂肪指数(VAI)を計算してみよう」「内臓脂肪指数(VAI)は、結腸直腸癌の予測因子である」など参照)

内臓脂肪を最も増加させる糖質は果糖です。現代ではスーパーなどで売っているお菓子や、ドリンク、惣菜など果糖だらけでしょう。

糖質制限 糖質過剰症候群

「Visceral fat is associated to the severity of COVID-19」

「内臓脂肪はCOVID-19の重症度に関連している」(原文はここ

2 thoughts on “内臓脂肪が新型コロナウイルスの重症化と関連している

  1. 各放送局朝のワイドショウーでは新型コロナ対応への正論が飛び交っています。果糖による重症化リスクも是非、報道して欲しいですね。ただ、スポンサー忖度あるので、きっと無理ですね。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      果糖の重症化リスクなんてマスコミが取り上げるはずがありません。いまさらマスコミに期待もしていません。

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