手根管症候群は比較的一般的な疾患です。しかし、手根管症候群の患者は、肥満になる可能性が1.77倍、糖尿病になる可能性が3.02倍です。(ここ参照)
今回の研究ではインスリン抵抗性と手根管症候群の関連を調べています。(図は原文より)
上の図は左が手根管症候群の患者、右がコントロールです。手根管症候群の患者ではなんと80%がインスリン抵抗性を示しました。耐糖能が正常でインスリン抵抗性が無い患者はたった20%です。
45%は耐糖能障害、14%は新たに糖尿病と診断され、20%はインスリン抵抗性のみでした。
上の図はそれぞれのグループの空腹時やOGTT時の血糖値やインスリン値、インスリン抵抗性です。手根管症候群の患者ではたとえインスリン抵抗性のみでもコントロールと比較して、HOMA-indexは有意に高く、同様に耐糖能障害でも糖尿病でもインスリン抵抗性はコントロールよりも高くなっていました。
つまり、手根管症候群は単なる整形外科の疾患ではなく、糖質過剰症候群の一つです。全身の異常の一つの症状に過ぎません。もちろん手根管症候群は手術で改善しますが、問題はそこではなく、手術で改善しても、もともとの原因の高血糖、インスリン抵抗性は改善しておらず、そのままでは別の糖質過剰症候群の症状が出てきてしまいます。
手根管症候群の予防にも糖質制限ですし、手根管症候群と診断されたら、全身が様々なリスクにさらされていると考えるべきでしょう。
「Insulin resistance increases risk of carpal tunnel syndrome: a case-control study」
「インスリン抵抗性は手根管症候群のリスクを高める:症例対照研究」(原文はここ)
整形的な疾患が食事内容に大きく影響を受ける、
専門医師もご存じのことなのでしょうか?
何だか「バランス良く3食」指導にとどまっていそうではあります。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
恐らく体重減少に言及することはあるでしょうが、食事まで話をする整形外科医はほとんどいないと思います。
清水先生、おはようございます。
手根管症候群のような整形外科で治療をする疾患も、その原因が糖質過剰であることは驚きですが、糖質過剰により起こりうることを理解すれば不思議ではないことですね。
“感染症に関連する企業に翻弄されないように”の記事もそうですが、本質を捉えることの重要性をついていると感じます。
じょんさん、コメントありがとうございます。
今の医療は専門的になり過ぎているので、食事が問題であると考える医師は非常に少ないと思います。
自分の専門領域でしか考えなくなっているように思えます。