コクランのレビューはランダム化比較試験(RCT)を中心に臨床試験をくまなく収集し、評価し、分析していると言われ、かなりの影響力があります。ここに書かれたことはエビデンスとしては最高に位置するとも考える人もいるでしょう。

そのコクランまでも低炭水化物食については厳しい分析をし、レビューを出してきました。

「体重と心血管リスクを減らすための低炭水化物食対バランスの取れた炭水化物食」と題したレビューでは、6,925人の過体重または肥満の成人を対象として、低炭水化物食とバランスの取れた炭水化物食とにランダムに割り当てた61のRCTを分析しています。

その結果、2型糖尿病のない過体重および肥満の人の中で、低炭水化物食を3〜8.5か月続けた場合、バランスの取れた炭水化物食よりも平均して約1kg多く体重が減りました。たった1kgです。あらら…。1〜2年以上の期間でもー0.93kgでした。あらら…。

2型糖尿病の成人を対象とした研究では、バランスの取れた炭水化物食と比較して、低炭水化物食の体重減少は3〜6か月で−1.26kgでした。ただし、1〜2年続くより長い介入では、有意な違いはありませんでした。あらら…。

血圧、コレステロール、血糖コントロールなども有意差はありませんでした。

この結論は次のようです。2型糖尿病の有無にかかわらず、過体重および肥満の人が低炭水化物食またはバランスの取れた炭水化物の減量食にランダム化された場合、2年のフォローアップまでは体重減少と心血管リスク因子の変化にほとんどまたはまったく違いはないということです。

何か我々の知っている糖質制限の結果と大きく違うと思いませんか?

実はこれもまた糖質量の設定が糖質制限食とは全く違うのです。

ここでの分析された低炭水化物食は、42の試験では1日あたり50g~150gまたはエネルギー摂取量の45%未満という設定です。糖質制限食と同等の超低炭水化物食50g/日以下またはエネルギー摂取量の10%未満というのは14の試験だけです。これらをごっちゃにして分析しています。

バランスの取れた炭水化物食はエネルギー摂取量の45〜65%を炭水化物で摂ったものです。

これではまともな分析になるわけがありません。しかし、糖質が全く過剰な低炭水化物食=糖質制限食という間違った考えによって、糖質制限は効果が無いことが証明されたように思ってしまう医師や一般の人もいるでしょう。

コクランもどうせなら、低炭水化物食と超低炭水化物食を分けて分析してくれれば良いのに、この違いが分かっていながら合わせてごっちゃにしてしまっています。何かの力が働いているのでしょうか?

もう早く定義を決めてほしいですね。定義を決めないと、永遠にこのような無意味な研究が出続けてしまいます。糖質の割合が10%前後の糖質制限食と30~40%の中途半端な低炭水化物食では違うにきまっているのです。中途半端な糖質制限は結果も中途半端です。(「中途半端な糖質制限では中途半端な結果になる その1」「その2」参照)いわゆる「ロカボ」でさえ結果は中途半端なんですから。そもそも糖質を30~40%も摂っていたらケトン体もほとんど産生されないでしょう。

肥満も糖尿病も糖質過剰症候群です。ちゃんと糖質制限をやらないと効果は非常に少ないでしょう。

 

「Low-carbohydrate versus balanced-carbohydrate diets for reducing weight and cardiovascular risk」

「体重と心血管リスクを減らすための低炭水化物食対バランスの取れた炭水化物食」(原文はここ

13 thoughts on “コクランまでも低炭水化物食は効果が無いと・・・その1”
  1. 清水先生、こんばんは。
    せっかくのメタアナリシスも糖質制限を定義せずに解析すると意味のない結果になってしまうのですね。この結果が一人歩きしないことを祈るばかりです。

    1. じょんさん、コメントありがとうございます。

      エビデンスは道具なので、うまく使えば有効でしょう。
      しかし、見ただけではそれが使える道具なのかどうかがわかりません。
      多くの人はその道具を見た目や宣伝文句だけで判断するので、おかしな情報が広まってしまいます。

  2. この手の研究ではいつも糖質量が問題になります。
    いっそのこと、糖質量ではなく糖代謝か脂肪酸代謝かと言う比較、すなわちケトン体値での比較にすれば良いと思いますがいかがでしょう。糖質量はその時の参考値程度にとどめれば研究者自身も違いに気づくはずです。このような研究はないのでしょうか。

    1. 西村 典彦さん、コメントありがとうございます。

      医師も製薬会社ももうからない研究には資金が集まらないでしょう。

  3. 理想的な糖質制限を考えるとき、カロリーベースで糖質割合10%ということは、日に2000キロカロリー摂取の人であれば糖質量は50gですよね

    日に糖質50gが最大限ということになると、「お茶碗一杯の白米」は確実にアウト「山下清のおむすび」もおそらくダメ

    「米パン麺の主食概念」は早めに捨て去ったほうが糖質制限はうまくいくと思いますが、、、

    ところで、先週の朝のNHKラジオに「白米が健康寿命を縮める」の著者である歯科医師の花田さんが5回にわたり歯原性菌血症や口腔衛生のお話(再放送)をされていましたが、根元にあるはずの白米の害についてはほとんど触れずじまいの印象
    ちょっと残念に思いました。

    1. やまもと凛さん、コメントありがとうございます。

      NHKでお米は食べてはダメとは言えないでしょう。または言ってもカットされるでしょう。

  4. 日常的に糖質制限をしている者と一般人(!?)では、糖質過剰摂取や糖質制限
    に対する認識が別世界なのではないでしょうか?

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      もちろん別世界です。だって話がかみ合わないですよね?

  5. 「何かの力」は当然働いてるんじゃないでしょうかか?

    もし人類がみんな糖質制限を始めたらあっという間に食糧難になるでしょうし(狩猟採集時代とは地球全体の人口があまりにも違いすぎます)、そこまで普及しなくても、糖質制限で病気の人が大幅に減れば医療業界や製薬会社も大打撃ですし、米農家は米を作るのをやめたら田んぼで何を作ればいいのか困るでしょうし、食品業界や飲食業界も炭水化物メインの店はどんどん潰れるでしょうし…。

    それでも血糖値測定器のランニングコストが今よりはるかに安くなって(できればタダ同然)、体温計や体重計並みに一般家庭に普及すれば、さすがに「血糖値スパイクなんて何の問題もないです」とは誰も言えないでしょうから、仕方なく糖質制限を始める人が激増するんじゃないでしょうか?

    1. 大阪高橋さん、コメントありがとうございます。

      アップルウォッチなどに血糖値測定機能が付くことを、一番戦々恐々としているのは、
      糖尿病専門医かもしれませんね。
      日本糖尿病学会などが厚労省(?どこの省が管轄かわかりませんが?)などに働きかけて、血糖値測定機能を承認しないとか起らないと良いですが。

  6. 現在のコクランは、信頼性を全く失っています。
    医薬ビジランスセンター(浜六郎理事長)の記事がありますので、ご紹介します。

    薬のチェック TIP NOV. 2018/Vol.18 No.80 ・Page 127 https://npojip.org/chk_tip/80-Editorial.pdf

    瀕死のコクランは蘇生できるか
     コクランのシステマティックレビューは、治療法など医療技術に偽情報が多い中、比較的質のよい重要な情報源です。しかし、同団体の設立者の一人 Peter Gøtzsche 氏が追放された事件(139,146 頁に関連記事)は、コクランの信頼性にかかわる重大事態で、25 年間のコクランの歴史の中で初めてのことです。
     コクランは当初「コクラン共同計画」と呼ばれていましたが、最近 collaboration(共同計画)を外し、英国に本部を置く有限責任会社(Limited Liability Company)となりました。組織は複雑です。最高責任者(CEO)と執行機関があり、それとは別に取締役会(Governing board)が運営方針から会員の除名まで決定します。
    取締役会(理事と取締役 ) は 13 人以上とされ(定款は 3 人以上と大きく矛盾)、過半数で議決します。
    理事の過半数は選挙で選ばれ、他は取締役会が任命した役員です(総会で承認を要す)。
     今回の事件前の取締役会は、選挙選出役員8人と、任命役員5人でした。選挙で選ばれた8人は、取締役会残留組4人、Gøtzsche 氏、抗議して辞任した 3 人。任命役員5人は、残留組 2 人、抗議して辞任した 1 人と、追放に反対して後に辞任した 1 人、それに投票は棄権し選挙選出役員とのバランスのため辞任となった1人です。つまり、勢力は拮抗しているのに、Gøtzsche 氏を排除することで、追放が決定されたのです。
     定款に従えば 6 人の取締役会は成立しますが、最低 13 人必要なら規定違反です。そもそも現取締役会はコクラン全体の意見を反映していないので、解散し選挙すべきです。
     今回の決定は、CEO らのトップダウンの決定や、利益相反を抱えた研究者による歪められたレビュー容認のやり方を Gøtzsche 氏が批判してきたことが直接の原因です。しかし、CEO らに対する批判は事件前からありました。12 のコクランセンター中9センターが批判し、米国コクランは批判して閉鎖、仏コクランセンター長は辞任しました。また、今回の Gøtzsche 氏追放の決定に対して、役員として反対したドイツやカナダ、オーストリアのほか、ラテンアメリカとスペインなど 31 か国の全コクランセンター(支部も含め)が反対し、Gøtzsche 氏支持を表明しています(p146 文献 8 参照)。
     2016 年に国際医薬品情報誌協会(ISDB)は、3年間の猶予期間の後に、製薬関連産業との利益相反が全くない執筆者と編集委員会、出版母体による情報誌でなければ加盟できないという規定を決定しました。本誌はもちろん、その条件を満たしています。
     いまや、企業から完全に独立した情報でなければ信頼できないことは明瞭です。重要なのは、単に利益相反の透明性ではなく、利益相反が科学的情報を歪めている事実です。利益相反を排除しなればコクランの情報は、患者からも医療従事者からも信用されなくなります。現在の取締役会は解散し、新たに選挙を実施すべきという Gøtzsche 氏や ISDB 委員会の考えを本誌も支持します。本誌はさらに、コクランの定款改訂も必要と考えます。

    1. 情報提供さん、コメントありがとうございます。

      コクランはHPVワクチンのシステマティックレビューのころからおかしくなってしまいましたね。
      お金の力には誰も勝てないのでしょうかね?

  7. 金の力は絶大だと思います。
    HPVワクチンの不正レビューの背後に『ワクチン皇帝』と呼ばれるビル・ゲイツの金があり、ビル・ゲイツがWHO、世界のワクチン(新型コロナワクチンを含む)、メディア及びメディアの検閲を支配している関連記事と動画(ドイツkla.tv日本語字幕付き)をご紹介します。

    1. Peter Goetzsche氏追放の関連記事です
    医薬ビジランスセンター(浜六郎理事長)
    薬のチェック TIP NOV. 2018/Vol.18 No.80 、Page 146
    コクラン暴走――最大の功労者を除名
     コクラン(Cochrane)の取締役会は2018年9月13日、創設者の一人Peter Goetzsche氏を同団体から追放することを、Goetzsche 氏を議論から排除した状態で賛成6人、反対5人(棄権1)の僅差で決定しました。 4人の役員がこの決定に抗議して辞任しました[1]。
     Peter Goetzsche氏は、ノルディック・コクラン代表で、13人の役員の一人。乳がん検診(本誌63、66号)や総合健診(同76号)が無効なことをはじめ、18件のシステマティックレビューを実施するとともに、コクランの研究方法論グループのリーダーとして大きな貢献をし、向精神薬剤の過剰使用や害に関する研究でも、数々の重要な業績があります[2]。
     特に、本年5月に発表されたHPVワクチンに関するコクランのシステマティックレビュー[3]で約半数の試験しか解析していないこと、メーカーとの利益相反などを指摘して、痛烈に批判していました[4]。
     これに対して、コクランの編集長らは反論しています[5]が、適切な批判にはなっていません[6,7]。
     取締役会のGoetzsche氏追放の理由は、「コクランの評判を貶める(disrepute)行為」というだけで、具体的な内容は明さず、Goetzsche氏に全く反論の機会も与えず、さらにノルディック・コクランの取り潰しを図るという暴挙にも出ています[8]。
      これは、製薬産業など企業からの影響を排除して、医療技術の役割・功罪について真に信頼できる情報を、研究者の自発的な意思によって作り上げようとするコクラン共同計画の本来の趣旨を大きく損なうものです。コクラン自体が企業化し、製薬産業からの影響が拡大した結果でしょう。コクランは「今、沈没している」との危惧が語られています[8,9]。

    2.コクランがワクチン皇帝と呼ばれるビル・ゲイツから金を受け取っていることは、
    薬害オンブズパースン会議
    http://www.yakugai.gr.jp/topics/topic.php?id=956
    HPV ワクチンに関するコクラン・レビューに対する批判的見解 2018-06-07
    に次のように書かれています。
    『また、コクランは、ワクチンを推奨するビル&メリンダ・ゲイツ財団から2016年に1億3,000万円の資金提供を受けていることも考慮しなければなりません。』

    3.ビル・ゲイツが巨額の資金を使用して、世界のワクチンやWHOを支配していることは、ドイツkla.tvの次の日本語字幕付き動画、及び日本語字幕のトランスクリプトにまとめられています。

    (1)WHOを操るのは誰?
    11.09.2021 | http://www.kla.tv/19823
    https://www.kla.tv/index.php?a=showlanguage&lang=ja&id=19823&date=2021-09-15

    (2) ロバートF. ケネディJr. : 「ビル・ゲイツ」グローバリズム独裁のワクチン・アジェンダ
    15.10.2021 | http://www.kla.tv/20168
    https://www.kla.tv/index.php?a=showlanguage&lang=ja&id=20168&date=2021-10-15

    (3) ビル・ゲイツによるグローバルメディアと検閲のコントロール
    26.10.2021 | http://www.kla.tv/20324
    https://www.kla.tv/index.php?a=showlanguage&lang=ja&id=20324&date=2021-10-27

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