血栓症と高血糖および糖尿病 その2

以前の記事「血栓症と高血糖および糖尿病 その1」の続きです。多くの人は空腹時のインスリン値なんて測定したこともないでしょう。

血糖値が正常だからと安心していませんか?その血糖値はインスリン分泌の増加によってもたらされているのであれば、高インスリン血症となっていて、それも危険です。

今回の研究では、耐糖能が正常である人と耐糖能障害のある人で、空腹時インスリンと血栓に関連する因子を調べました。対象は男性1331人、女性1631人(55%)、平均年齢は53 歳(26 ~ 82 歳)でした。2375人(80.2%)は正常な耐糖能を持ち、587人(19.8%)は耐糖能障害でした。空腹時インスリン値によって5つのグループに分けました。(図は原文より)

上の図はすべて凝固系や線溶系の因子です。多くなるほど血栓リスクが高くなると考えてください。

本来tPAは線溶系の活性を亢進させるものですが、tPAとPAI-1の増加は大部分が循環しているt-PA-PAI-1複合体を反映していると考えられ、したがって線溶系活性が増強するのではなく低下します。(ここ参照)

上の図は空腹時インスリン値による男女別の凝固や線溶系のパラメータとの関連についてです。多くのパラメータで最も空腹時インスリン値が高い群で増加しました。つまり、血栓ができやすくなっているのです。これは耐糖能が正常である人でも増加が認められました。しかし、もちろん耐糖能障害の方が数値が大きいのがわかります。

その中でも最もPAI-1が空腹時インスリンの上昇により増加していました。PAI-1は線溶系を阻害するものなので、血栓が溶けにくくなります。つまり、高インスリン血症は線溶障害に関連しています。(「高血糖は凝固を促進し、高インスリン血症は線溶を阻害する」参照)

空腹時インスリン値は糖質制限をすれば非常に低下するでしょう。もちろん糖質制限をすれば食後血糖値も安定し、インスリン分泌も減少します。血栓症は糖質過剰症候群です。

「Hyperinsulinemia, Hyperglycemia, and Impaired Hemostasis」

「高インスリン血症、高血糖、および止血障害」(原文はここ

 

 

2 thoughts on “血栓症と高血糖および糖尿病 その2

  1. 欧米では子供への高糖質の食品や飲料の
    販売が規制されている国もあるようですが、
    日本は野放し、CMや大食い番組なども多く、
    糖質を制限するのが困難な環境ですね。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      日本は全てが野放しですから。
      国民の多くは自分で考えることをしませんし。

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