大量のラカント(エリスリトール)の摂取は血栓リスクを高めるかもしれない?

以前の記事「ラカント(エリスリトール)と心血管疾患リスク」「キシリトールと心血管疾患リスク」で取り上げた研究を発表したクリーブランドクリニックのグループが、また新しい研究を出してきました。今回もエリスリトール(ラカント)です。今回の研究では、健康なボランティアにブドウ糖またはエリスリトールを30g混ぜた水を摂取して、その影響を分析しました。ブドウ糖群10人、平均年齢26歳、男性40%、エリスリトール群 10人、平均年齢29歳、男性50%です。エリスリトール摂取後、血中のエリスリトール濃度はベースライン濃度と比較して1000倍以上増加しました(中央値6480  vs. 3.8 μmol/L)。対照的に、血中エリスリトール濃度はブドウ糖摂取前後で変化は、当然ですが変化はありませんでしたが、ブドウ糖濃度はは87から127mg/dLへわずかに増加しました。血小板凝集に及ぼす影響をADPとTRAP6というものとの反応性で調べました。(図は原文より)

上の図のように、エリスリトール摂取後(左側の図)、ADPおよびTRAP6の両方の複数のレベルに対する血小板凝集反応の顕著な増加が観察されました。そしてそれは、すべてのエリスリトール群の参加者に同じ効果が見られました。対照的に、ブドウ糖摂取(右側の図)は血小板凝集に影響を及ぼしませんでした。

上の図はADPおよびTRAP6と反応させたときの、CXCL4とセロトニン血中濃度の変化を示しています。CXCL4は血小板のα顆粒中に存在しており、血小板の活性化にともない放出される血小板第4因子です。セロトニンは血小板濃染顆粒より放出され、血小板膜表面に存在するセロトニン受容体に結合し、血小板凝集を生じます。セロトニン自身の血小板凝集効果は弱く可逆的ですが、他の血小板凝集惹起物質の作用を促進するとされているそうです。

CXCL4およびセロトニンの値は、エリスリトール摂取後に有意な増加を示しましたが、ブドウ糖摂取後には変化しませんでした。

つまり、エリスリトールを一気に30gも摂取すると、血小板凝集が促進されてしまう可能性があり、それは血栓形成を起こすリスクを高めます。

私自身は甘みを欲することはないので、ラカントもほとんど使いません。でも糖質制限でラカント(エリスリトール)を使用している人もいるでしょう。もちろん、急激に血中濃度を上げるような量で摂取することは少ないかもしれません。30gというエリスリトールはかなりの量ではないかと思います。さらに、単独でエリスリトールを水に溶かして飲むことは少なく、他の栄養成分などによる血小板への作用と相まってどのような影響を与えるかは未知数です。血小板凝集抑制する成分も色々ありますので。また、普段糖質制限を行っている人が同じ実験をして、同じように血小板凝集が活性化するかどうかもわかりません。

ただ、やはり同量の糖質よりももしかしたら血栓形成を促進してしまう可能性があります。糖質の代替品ではありますが、大量に使うことは避けた方が良いかもしれません。どれくらいの量であればエリスリトールが安全なのかは現在のところわかっていません。

「Ingestion of the Non-Nutritive Sweetener Erythritol, but Not Glucose, Enhances Platelet Reactivity and Thrombosis Potential in Healthy Volunteers」

「非栄養甘味料エリスリトールの摂取は、健康なボランティアの血小板反応性と血栓形成の可能性を高めるが、グルコースの摂取はそうではない」(原文はここ

One thought on “大量のラカント(エリスリトール)の摂取は血栓リスクを高めるかもしれない?

  1. 甘味欲求の無い、先生の境地が目標
    ですが、まだラカントや㌍0飲料のお世話になってます。

    話変わりますが、元プロ野球投手56歳が利き腕切断となったニユース、
    関係無いかもしれませんが、
    近影は見事なメタボでありました。

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