内臓脂肪の冠動脈疾患への影響

いまだに心臓の冠動脈のプラークは、高コレステロールが原因と信じている人もいるでしょう。そのような人は容易に不必要なスタチン内服を受け入れてしまいます。プラークの中にコレステロールが存在するから、原因がコレステロールにあると考えるのは、あまりに短絡的です。

今回の研究では、145人の無症状患者を対象に、動脈硬化イメージングCTを実施し、内臓脂肪 (VF) と冠動脈プラークの関係を分析しています。平均年齢は56.1歳で、84.0%が男性でした。全体では、3.5%が糖尿病、19%が高血圧、38%が脂質異常症、8%が喫煙者、34%が冠動脈疾患の家族歴を持っていました。また、検査時点では、37%がスタチン、21%が降圧剤、11%が非スタチン脂質低下剤を服用していました。(図は原文より)

内臓脂肪は最も少ない群が15-102cm2、次が104-159、その次が160-219、最も多い群が222-441でした。ちなみに、内臓脂肪面積が100cm²以上は異常値とされていますので、最も少ない群のみが正常範囲と言えるでしょう。上の図は、その4つのグループで分けたときの総プラーク容積(TPV)(左上)、石灰化プラーク(CP)(右上)、非石灰化プラーク(NCP)(左下)、低密度非石灰化プラーク(LD-NCP)(右下)の容積を示しています。

石灰化プラークだけは最も内臓脂肪が多いグループよりも3番目のグループの方がプラークが多くなりましたが、総プラーク容積およびその他のプラークは内臓脂肪が多いほどプラーク要請気が増加しました。

上の図は最も内臓脂肪が少ないグループの人の例です。皮下脂肪は紫色、内臓脂肪は緑色です。緑色がかなり少ないのがわかります。

上の図は最も内臓脂肪が多いグループの人の例です。紫の皮下脂肪も凄いですが、緑の内臓脂肪もビッチリですね。

上の図は55歳の無症状の男性で、最も内臓脂肪の多いグループの人のCTです。左側の図に50%の狭窄を引き起こしている長い非石灰化プラークが示されています。イメージングCTの分析では、内腔壁(マゼンタの線)と外壁-心外膜脂肪境界(黄色の線、2番目の画像)が示されています。

右側のカラープラークオーバーレイ(一番下の画像)では、低密度非石灰化プラーク(LD-NCP、赤)と非石灰化プラーク(黄色)の両方が示されています。

内臓脂肪の増加は、冠動脈プラークの増加と大きく関連しています。(「糖尿病と内臓脂肪と冠動脈プラークの関連性」参照)

一方、次のような研究もあります。(ここ参照)脂質低下療法を受けていない高リスク心血管疾患患者42人の内臓脂肪面積と脂質検査の関連を分析したものです。

その結果、内臓脂肪面積はLDLコレステロールと逆相関していました。つまり内臓脂肪面積が大きいほどLDLコレステロールが低くなっていたのです。もちろん、内臓脂肪面積が大きいほどHDLコレステロールは低く、中性脂肪は高くなっていました。

内臓脂肪の増加は糖質、特に果糖の過剰摂取が主な原因です。コレステロールとは無関係どころか、逆相関という研究もあるのです。(「冠動脈のプラークは低LDLコレステロールと関連している」参照)

心血管疾患は糖質過剰症候群です。どうしても、コレステロールのせいにしたい人たちや企業が存在します。そして、彼らがエビデンスを次々に出して、それがあたかも真実であるかのように洗脳を続けるのです。

冠動脈疾患をはじめ心血管疾患を予防するにはまずは糖質制限です。

「Impact of visceral fat on coronary artery disease as defined by quantitative computed tomography angiography」

「定量的コンピューター断層撮影血管造影法で定義される内臓脂肪の冠動脈疾患への影響」(原文はここ

2 thoughts on “内臓脂肪の冠動脈疾患への影響

  1. プラークの中にコレステロールが存在するから、原因がコレステロールにあると考えるのは、
    軟骨成分のサプリで膝の軟骨が
    再生するとの認識と同レベルの
    ように感じます。

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