GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(マンジャロ)の過食を抑える作用は一時的かも?

GLP-1受容体作動薬の勢いが止まりませんね。あれにもこれにも効果があると言い、製薬会社は、今が売り上げの拡大を狙えるタイミングなんだと確信しているのでしょう。犠牲者がさらに増えないことを祈るばかりです。

今回の研究では、フードノイズ(強迫的な食物渇望)に関連する脳活動パターンとGIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(商品名マンジャロ/ゼップバウンド)の効果を調べています。

持続的な「フードノイズ」を経験した重度の肥満患者の脳内電気信号の変化を、チルゼパチドの服用開始直後に測定しました。(でも、これって人体実験では?)

被験者1は51歳の女性で、重度の治療抵抗性肥満(BMI46.5)であり、減量手術を受けたにもかかわらず、食物への強い執着心を抱えていました。術後、体重は52.16kg減少しましたが、徐々にリバウンドし、この研究の登録時には手術前の体重に戻っていました。登録時には、腫瘍、腰痛、脊柱後弯症/側弯症、高血圧、胃食道逆流症、脂質異常症、複雑性片頭痛、不安症といった併存疾患を有していました。

被験者2は61歳の女性で、重度の治療抵抗性肥満(BMI47.1)であり、同様に減量手術を受けたにもかかわらず、食物への強い執着心を抱えていました。手術後68.95kg減量しましたが、その後体重は増加し、登録時には手術前の9%以内までリバウンドしていました。登録時には片頭痛の併存疾患がありました。

減量手術後から登録前まで、両参加者は行動療法、支援グループ、薬物療法など、様々な減量戦略を試しましたが、いずれも効果はありませんでした。

両参加者とも、特に感情的およびストレス関連の誘因に関連する重度の食物への執着を報告しており、これはしばしば制御不能な摂食エピソード(それぞれ週あたり約5回および週あたり約4回)につながっていました。

被験者3は60歳の女性で、減量手術を受け、2 型糖尿病を併発しているにもかかわらず、重度の治療抵抗性肥満(BMI46.1)です。彼女は、食べ物への執着によるかなりの苦痛を訴えて来院しました。彼女が頻繁に食べ物に執着したことで、制御不能な摂食エピソードを何度も経験するなど、望ましくない摂食行動につながっていました。手術前の体重は154kg で、カロリーの高い食品への渇望がありました。減量手術後、最低体重は115kg (BMI38.7)でしたが、登録時に彼女の体重は137kg(BMI46.1)に増加していました。食べ物のことで頭がいっぱいになり、我慢したくても外食したり、間食を続けたりすることがあると述べました。甘いものと塩辛いものの両方に集中しており、例えば、市販のカップケーキやローストビーフサンドイッチとフライドポテトなどです。研究開始前の月に、19回の制御不能エピソードを報告しました。不快なほど満腹になるまで食べ、空腹でないのに大量に食べ、これらのエピソードの後に​​罪悪感を感じ、それに伴う強い苦痛を訴えました。

彼らには頭蓋内脳波記録(iEEG)を取得したり、刺激したりする深部電極を脳に埋め込みました。

中脳辺縁系回路(側坐核(NAc)を含む)を電極を通して刺激します。側坐核(NAc)は報酬処理に関与していてGLP-1受容体を発現しています。植え込んだ電極によりNAcが刺激されて、その部分の活動が弱まるようです。脳の電気活動を継続的にモニタリングし、異常な電気活動を検知すると、微弱なレベルの電気刺激を脳に送り、異常を起こす前に活動を正常化させるよう設計されています。

脳の活動の対照群は、リラックスしていて食欲を感じていない時に収集された磁気スワイプデータです。食べ物への渇望を感じたときと食べる前に磁石をスワイプするよう依頼しました。

被験者1と2のNAcからの脳の活動記録を解析したところ、重度の食物への執着状態における腹側NAcのδ-θ帯域(≤7 Hz)のパワーが対照状態と比較して有意に高くなり、重度の食物への執着エピソード(つまり、強いフードノイズを感じる瞬間)の数が多くなることと関係していました。

その知見を利用して、2型糖尿病の被験者3では、以前にGLP-1受容体作動薬のデュラグルチドの使用は失敗していたことから、GIP/GLP-1受容体作動薬のチルゼパチドに切り替えられました。ベースライン評価の時点では、週7.5 mgのチルゼパチドで食物への執着への影響は報告されませんでした。一時的な体重減少を報告しましたが、その後元の体重に戻りましたが、食べ物への執着や摂食コントロールのには影響がありませんでした。脳の電極を植え込み手術を考慮して、糖尿病管理を最適化するためにチルゼパチドの用量を増やしました。植え込み時、週12.5 mgを投与されていましたが、約4か月後に血糖コントロールの継続的な最適化のため、さらに週15 mgに増量されました。

被験者3には脳の刺激は行われません。電極植え込み手術後4か月間、長期間にわたって重度の食物への執着が見られませんでした。チルゼパチドの用量を増加したことと一致しています。この期間中、重度の食物への執着状態におけるδ-θ帯域(≤7 Hz)のパワーは、対照状態のパワーと区別がつかない状態でした。

しかし、その後5~7か月にはδ-θ帯域(≤7 Hz)のパワー増加が認められ、最大用量のチルゼパチドを投与されたにもかかわらず、重度の食物への執着の増加を報告し始めました。重度の食物への執着エピソードの数は月に7回に増加しました。

つまり、もしかしたら、GIP/GLP-1受容体作動薬のチルゼパチドは半年程度で耐性ができてしまう可能性があります。ただし、今回の研究はn=1です。

GLP-1受容体作動薬は脳にも作用し、食べ物への欲求が低下します。しかし、耐性ができて、食物への執着が増加してきてしまう場合、それが糖尿病コントロールや体重に影響するのかどうかはわかりません。

そして、チルゼパチドを最大量で使用して、重度の食物への執着が現れた人で、チルゼパチドを中止した場合に、脳がどうなってしまうのかも予測できません。さらに、食べ物への欲求が強まって、手が付けられない状態になる可能性もあります。過食を抑える薬が効かなくなった脳は、その後どうなってしまうのでしょうか?

チルゼパチドがフードノイズを鎮める効果は一時的である可能性があり、GLP-1受容体の脱感作が起きているかもしれません。それがどの程度強く、長く続くのかもわかりません。

糖質は依存物質です。手を出さない方が良いでしょう。

そして、脳に作用する薬を安易に使用しない方が良いでしょう。戻れない場所に行ってしまわないように。

「Brain activity associated with breakthrough food preoccupation in an individual on tirzepatide」

「チルゼパチドを服用している患者における、重度の食べ物への執着に関連する脳活動」(原文はここ

One thought on “GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(マンジャロ)の過食を抑える作用は一時的かも?

  1. 「マンジャロ」って何じゃろ?親父ギャグ
    発してしまう程、よく耳にする
    様になった「痩せ薬」マンジャロ。
    楽にダイエットできて、副作用も無い、
    はずも無いと冷静に考えれば
    当たり前のことが、
    「ブーム」的になってしまうと、
    とりあえず乗っかってみたくなる
    人も多いでしょうね、

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