インスリン値は非常に重要であるのに、普段の臨床の現場ではほとんど測定されません。医療は意図的に、インスリン値を測らないようにしているようにも思えてなりません。
今回の研究では、急性心筋梗塞を発症した非糖尿病患者における、糖代謝異常が総死亡率に及ぼす影響を調べています。心筋梗塞が確認され、糖尿病の既往歴のない患者494人が対象です。ベースライン時に、空腹時インスリン、空腹時血糖、HbA1c、尿中アルブミン排泄量を測定し、生存状況は6~8年後に判定しました。それぞれの測定値で4つのグループに分けたとき、最も高い値のグループは、血糖値で1.6倍、インスリン値で1.8倍、HbA1cで1.9倍、尿中アルブミン値で1.6倍、死亡リスクが増加しました。(図は原文より)
上の図は、空腹時インスリン値で4つのグループに分けたときの全原因死亡の累積発生率です。最低群のインスリン値<6.4 mU/l、その次は6.4~9.3 mU/l、3番目は値9.4~13.5 mU/l、最も高い群では>13.5 mU/lです。最もインスリン値が高い群では、6年後には半分の患者が死亡しています。
ベースライン変数、左室収縮機能、入院中の合併症を含む多変量解析では、高インスリン値のみが有意で死亡リスクは1.54倍でした。
循環器の医師の中で、高インスリン血症、インスリン抵抗性について、指摘したり、言及したり、インスリンを積極的に測定する医師の割合はどれほどかはわかりません。恐らくほとんどいないでしょう。彼らはLDLコレステロール値には異常なほど固執するのに、インスリンに関しては目を閉じています。
根本原因に対処しない方が、患者は患者のままで居続けてくれます。それが今の医療のビジネスモデルです。
「Hyperinsulinaemia is associated with increased long-term mortality following acute myocardial infarction in non-diabetic patients」
「高インスリン血症は、非糖尿病患者における急性心筋梗塞後の長期死亡率の上昇と関連している」(原文はここ)
