乳がんに糖尿病薬を使うと死亡率が高くなる

糖尿病は乳がんのリスク、再発のリスクを高めます。以前の記事「乳がんで糖質制限をした方が良い理由」で書いたように、乳がんの細胞にはインスリン受容体が非常に多くなります。糖尿病をインスリンやインスリン分泌を増加させるスルホニルウレア(SU剤)で治療するとどのようなことになるのでしょうか?(表は原文を改変)

ステージI / II乳がん診断後に使用した糖尿病薬(継続使用を含む)
乳がんの診断後に使用する2回目の乳がんイベント再発乳がん死亡率
HR95%CIHR95%CIHR95%CI
メトホルミン
非使用111
使用0.720.57-0.920.690.53-0.900.510.33-0.78
スルホニルウレア
非使用111
使用1.040.81-1.331.070.81-1.401.491.00-2.23
インスリン
非使用111
使用1.170.88-1.561.280.94-1.752.581.72-3.90
メトホルミンは全ての面で使用した方がリスクを低下させたのですが、スルホニルウレアとインスリンは死亡率を増加させました。
糖尿病薬使用開始時期による分類
2回目の乳がんイベント再発乳がん死亡
HR95%CIHR95%CIHR95%CI
メトホルミン
非使用111
継続使用0.770.55-1.060.660.45-0.960.410.22-0.74
がん診断後の使用開始0.830.49-1.410.930.54-1.620.610.22-1.71
スルホニルウレア
非使用111
継続使用1.030.73-1.450.990.67-1.471.180.65-2.15
がん診断後の使用開始1.480.88-2.501.720.99-2.963.081.53-6.20
インスリン
非使用111
継続使用1.080.70-1.681.220.75-1.992.141.14-4.00
がん診断後の使用開始1.971.25-3.132.451.52~3.963.371.73-6.58

継続使用であればスルホニルウレアはリスクを増加させませんでしたが、インスリンは死亡率を増加させました。逆にメトホルミンは診断後に使用ではリスクは軽減される傾向にありますが有意な差ではありませんでした。

診断後のスルホニルウレアは、乳がんの死亡リスクを3倍以上に高めてしまいましたが、インスリンの使用は全てのリスクを増加させてしまいました。

血糖値およびインスリンは閉経後の乳がんの発症に関連する」「糖質を摂ると乳がんの再発リスクが高くなる!」「血糖値の上昇は乳がんの予後を悪化させる」などでも書いたように、乳がんは高血糖や高インスリン血症で非常にリスクが高くなります。

乳がんに糖質制限は必須だと考えます。

 

「Diabetes Treatments and Risks of Adverse Breast Cancer Outcomes among Early-Stage Breast Cancer Patients: A SEER-Medicare Analysis」

「早期乳がん患者の糖尿病治療および有害な乳がん結果のリスク:SEER-Medicareアナリシス」(原文はここ

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