慢性腎臓病を有している人では心血管イベントの発症率が高く、ステージが上がるにつれリスクが高くなります。
(図はこの論文より)
上の図は横軸がGFRであり、ステージで言えば、左からステージ1+2、一番右がステージ5です。明らかにステージが上がるにつれ心血管イベントがどんどん増加します。
すると、一般的な医学的には心血管疾患はコレステロールとの関係を考えてしまいます。では、慢性腎臓病とコレステロール値と心血管疾患死亡率はどのようになるのでしょうか?(図は原文より)
上の図は、左が全原因死亡率、右が心血管疾患での死亡率です。横軸は総コレステロール値です。
総コレステロール160〜80mg/dLと比較して、120未満では、慢性腎臓病の全てのステージで、全原因および心血管疾患死亡率が高くなりました。そして、200以上の高コレステロール値は、慢性腎臓病の全てのステージで全原因死亡のリスク増加が低いまたは全くありませんでした。ステージ5の患者では、コレステロール180以上が死亡リスクの低下と関連していました。
逆に、200以上の高コレステロール血症では、ステージ5を除いて、心血管疾患での死亡率のリスクがやや高くなる傾向がありました。
原因は心血管疾患であっても、その他であっても死亡することを考えれば、全原因死亡が高コレステロール値に関係ないことが重要であり、しかも最もステージが進行したステージ5では高コレステロールは死亡率を低下させることになります。
そして、低コレステロールは慢性腎臓病でも死亡リスクの増加を示します。
「コレステロールを恐れ過ぎてはいけない LDLコレステロール値が低いほど死亡率が上がる!」などでも書いたように、決してコレステロール値が低いことは利益になりません。
それでもスタチンを飲みますか?
「Cholesterol and Mortality Among 2.1 Million US Veterans Across Chronic Kidney Disease Stages」
「慢性腎臓病の病期による210万人の米国退役軍人におけるコレステロールと死亡率」(原文はここ)