医療の世界はパラドックスだらけです。都合の良い仮説を考えて、薬を売るためにその仮説を支持するエビデンスを色々構築しても、実際の人間で観察すると、反対の結果が起きることはよくあるでしょう。もともとの仮説を取り下げるわけには
カテゴリー: コレステロール
スタチンとタンパク尿
日本臨床内科医会のホームページにはタンパク尿について次のように書かれています。 タンパクはからだにとって大切な構成成分ですから、健康であればほとんど尿に混ざりません。しかし腎臓に病気が起きると、ろ過機能をもつ糸球体 をタ
心血管疾患の一次予防でLDLコレステロールを低下させることは意味がない
急性の冠動脈疾患、心血管疾患はLDLコレステロールが高い人に起きるわけではありません。(「LDLコレステロール値は役に立たない」「急性冠症候群のLDLコレステロールは低い方が死亡リスクが高まる」「LDLコレステロールは心
糖質制限は危険? 低炭水化物高脂肪食と血中脂質レベルおよび心血管疾患リスクとの関連性
久しぶりに糖質制限否定派の研究が出てきました。糖質制限をすることの不安を煽ってきますね。でもやっぱりいつもの通りの非常に質の低い研究となっているように思えます。この研究では、糖質制限をするとLDLコレステロールが上昇し、
TyGインデックスと認知症との関連性
これまでも何度も取り上げているTyGインデックスですが、今回は認知症との関連です。(「中性脂肪値と血糖値だけで様々な疾患のリスクを評価できる」など参照) 今回の研究では、TyGインデックスと認知障害および認知症との関係を
2024年4月の血液検査データ
ちょっと遅れましたが、今年も血液検査のデータを示したいと思います。毎年それほど大きな変動はありません。毎年変化がなくて面白みに欠けます。 2024年4月 2023年4月 2022年4月 2020年5月 空腹時血糖値mg/
レムナントリポタンパク質は動脈壁を容易に通過できる?
多くの専門家は、LDLコレステロールを悪玉と考え、LDLが小さくなったsdLDLの方がサイズが小さいから動脈の壁を通過しやすいなどと言っています。 先日の記事「肥満医学協会と全米脂質協会による専門家の共同レビュー2024
糖質制限でケトン体があまり上がらないのですが… その2
人間は1日あたり最大300gのケトン体を生成することができると言われています。(ここ参照) しかし、「その1」でも書いたように、糖質制限でもあまりケトン体が上がらない場合もあります。その理由として、エネルギーとして消費さ
スタチンと不眠症および悪夢
スタチンには様々な有害な副作用がありますが、睡眠に関しても副作用があるようです。 ある研究では、スタチン使用での不眠症の報告オッズ⽐(ROR)は3.3でした。(ここ参照)つまり、他のすべての薬剤と比較して、スタチンでは不
食事の飽和脂肪酸摂取は血中の飽和脂肪酸を増やすのか? その3
「その1」「その2」の続きです。前回のその2では糖質制限で飽和脂肪酸タップリ食と不飽和脂肪酸タップリ食と普通の食事を比較していました。 今回の研究では、炭水化物を徐々に増加させ、同時に総脂肪および飽和脂肪酸を徐々に減少さ