血清リポタンパク(a)、Lp(a)はLDLコレステロールよりもさらに悪玉で、悪玉度は、Lp(a) 1粒子当たりのアテローム促進性は、LDLの6倍以上とする報告もあるそうです。(ここ参照)
専門医は、強力なLDL低下療法を行っているにもかかわらず、思うようにコントロールできない残余リスクのある患者では、Lp(a)が強く影響しているのではないか、と考えるかもしれません。
LDLコレステロール=悪玉、がウソなので、Lp(a)=超悪玉もウソかもしれません。
Lp(a)の値は遺伝的素因で90%決まっており、環境要因の影響は少ないので、成人後は生涯を通じほぼ一定であると考えられています。これもウソですね。そして、現在ではまだLp(a)低下薬がない現状なので、測定は1回でよいとしています。ほとんどの人は測定したことがないでしょうし、医師も検査しようとも言わないでしょう。
開発中のLp(a)低下薬には、Lp(a)を95%以上低下させるものもあるそうです。最初の薬は2026年早々に第3相試験が終了する見込みだそうです。
この薬が世の中に出てくると、Lp(a)の検査がバンバンされて、スタチンのように、Lp(a)が高いだけで薬が強く推奨されるようになってしまうでしょう。
でも、Lp(a)測定値は30年以上前から測定キットによってばらつきがあると言われています。そして、測定値の国際標準化もされていません。薬が出てくるまでには、標準化してくるでしょうね。
2025年7月に行われた、第57回日本動脈硬化学会総会・学術集会の発表では、日本人のLp(a)値は中央値を20.88nmol/Lとする低値に偏った分布をしており、Lp(a) 25nmol/L以下を心血管イベント低リスク、25nmol/L超~75nmol/L以下を中等度リスク、75nmol/L超を高リスクとするリスク層別化することが提唱されたようです。(ここ参照)(日本の単位(mg/dL)にするには2.1で割ってください)
私は7年近く前に、人体実験を行っています。アバウトな摂取量ですが、エネルギー4091kcal タンパク質156.39g 脂質361.05g 炭水化物75.83g(糖質では58.59g)、PFCバランス15.3%、79.4%、5.7%という、非常に高エネルギー、高脂質の食事を5日間行いました。脂質は1日に350g以上という量でした。
そのときのLp(a)の推移を見てみましょう。(「5日間の高脂肪高エネルギー食負荷試験(人体実験) その2 リポタンパク質(a)Lp(a) あなたは何者?①」参照)
90%は遺伝的に決まっているから、一生に一回の測定で良いと言われているのに、高脂質高エネルギーの食事を摂ったら、Lp(a)値は24.5から9.2まで低下したのです。ただ、空腹時血糖値が89→97と上昇し、インスリン値が2.6→5.4と上昇し、そしてインスリン抵抗性も0.57→1.29と上昇してしまいました。
これは私だけのn=1の実験ですが、以前の記事「最近LDLコレステロールからLp(a)およびApoBにシフトしてきている その2」「その3」で示したように、食事を変えるとLp(a)値はかなり変動します。具体的には、総脂質を34%から25%まで低下させ、飽和脂肪酸を15%から6.1%に低下させた食事をすると、Lp(a)は15.5から18.2におよそ15%増加しました。また、脂質からのエネルギー36%の中の飽和脂肪酸からのエネルギーの7%を炭水化物または一価不飽和脂肪酸に置き換えた食事をすると、Lp(a)は、炭水化物置き換えで20%、一価不飽和脂肪酸置き換えで 11%増加しました。また、低エネルギー食でも下の図(図はここより)のように、多くの人のLp(a)は増加しています。
さらにカルニチンでもLp(a)は低下します。赤肉は多くのカルニチンを含みます。飽和脂肪酸とカルニチンを多く含む赤肉はLp(a)を低下させるものなのです。
そうすると、Lp(a)がもし超悪玉だとすると、現在の推奨されている食事アドバイスは、どれもLp(a)を増加させている可能性があります。脂質、飽和脂肪酸、赤肉、高カロリー食はどれもLp(a)を低下させます。炭水化物を増やすとLp(a)が増加するので、Lp(a)も現代の一般的な食事である糖質過剰摂取で上がっているだけなのかもしれません。糖質制限を始めると恐らく低下すると思います。例えば、家族性高コレステロール血症で糖質制限をされている方のデータでは、総コレステロールは529、LDLコレステロールは427ですが、Lp(a)は12.8でした。
以前の記事「頸動脈プラークに関係するのはLp(a)よりも血糖値」で書いたように、Lp(a)よりも重要なのは耐糖能障害の程度です。また糖質過剰摂取状態での話ですが、「ますます怪しいリポタンパク質(a)Lp(a) 糖尿病との関係」で書いたように、Lp(a)が高い方が糖尿病やインスリン抵抗性などが起きにくいという研究もあります。スタチンでLDLコレステロールを下げると糖尿病リスクが高くなることと似ています。
遺伝的に決まっていて、生涯を通じほぼ一定であるという考えが全くのウソであることは明確でしょう。LDLコレステロールを悪玉として攻撃し、それを低下させるスタチンの処方が当たり前のように行われてきているように、今度はLp(a)を攻撃するでしょう。
結局Lp(a)って何なんでしょう?本当の正体がわからないまま、Lp(a)への攻撃は2026年ごろから開始されるかもしれません。攻撃に備えましょう。
糖質制限継続で健康を実感、
専門家の健康常識に惑わされない、
事が、
「攻撃」への最良の備え、だと思います
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
仰る通りです。
自分の体で実感できる健康こそ最良だと思います。
先日某大学准教授の講演を拝聴したところ、糖質制限→脂質増→LDLコレステロール増→危険!スタチン!?とのことでした。これが一般的医療者の考えなんですね…(その患者は食事調整してLDL下げたようです)
IgA腎症患者さん、コメントありがとうございます。
洗脳された、または利益相反バリバリの医師の言うことを鵜呑みにする方が危険です。