脳震盪を起こすコンタクトスポーツへの子供の参加は制限すべきかもしれない

いくつもの研究で、脳震盪を起こすようなスポーツをやっていた人の認知症をはじめ、神経変性疾患のリスクが高まると言われています。(「アスリートと神経変性疾患 その1」「その2」「サッカーのヘディング禁止」「元エリートラグビー選手の神経変性疾患リスク」など参照)

今回の研究では、神経学的損傷と外傷性脳症の研究のために、脳バンクに脳を寄付した男性の元アメリカン フットボール選手205 人を対象にしています。剖検時の平均年齢は67.17歳 です。

慢性外傷性脳症 (CTE)が73.7%に認められました。ミエリン関連糖タンパク質 (MAG) やプロテオリピドタンパク質 1 (PLP) など、脳損傷後の白質の完全性に対する最も初期の変化を表す可能性のある、より新しい指標らしいです。(詳しくはわかりません)

プレー年数が長いほど PLP 濃度が低いことと関連していることを示しました。(かなりのバラツキですが)(図は原文より)

また、アメフトに初めて触れた年齢が若いほど、PLP 濃度が低くなっていました。

反復的な頭部衝撃 (RHI)は、脳の白質損傷につながる可能性があります。臨床的に診断された脳震盪がない場合でも、ユースのような若い世代でもコンタクトスポーツを1シーズンプレーしただけで白質の変化が見られます。(ここ参照)

最近のスウェーデンの研究で、サッカーをしていたエリート選手のリスクを分析したものがあります。(この論文参照)
サッカー選手 コントロールハザード比 (95% CI)
神経変性疾患

537 (8・9%)3485 (6・2%)1・46(1・33~1・60)
アルツハイマー病およびその他の認知症491 (8・2%)2889 (5・1%)1・62 (1・47–1・78)
運動ニューロン疾患14 (0・2%)100 (0・2%)1・27(0・73~2・22)
パーキンソン病57 (0・9%)737 (1・3%)0・68(0・52~0・89)
神経変性疾患による死亡323 (5・4%)1979 (3・5%)1・54(1・37~1・73)
アルツハイマー病やその他の認知症による死亡290 (4・8%)1616 (2・9%)1・69(1・50~1・92)
運動ニューロン疾患による死亡13 (0・2%)84 (0・1%)1・41(0・79~2・53)
パーキンソン病による死亡28 (0・5%)365 (0・6%)0・70(0・48~1・03)

上の表のようにサッカー選手は神経変性疾患、認知症のリスクがやはり高いようです。ポジション別で分析すると、コントロールと比較して、ゴールキーパではなくフィールドプレーヤーで神経変性疾患のリスクが有意に高かったのです。つまり、ゴールキーパはリスク増加がありません。ヘディングをすることが少ないからでしょう。もし、サッカーをやるならゴールキーパが安全?

いずれにしても、アスリート、特に子供たちの脳への繰り返しの衝撃から保護するために、さらに多く対策、制限を行う必要があると思われます。大学生になるまでは、アメフトやラグビーのタックル禁止、サッカーのヘディング禁止、柔道の投げ技禁止などが必要かもしれません。子供の頃はコンタクトしない個人スポーツ中心の方が良いかもしれませんね。

「Decreased myelin proteins in brain donors exposed to football-related repetitive head impacts」

「フットボール関連の反復的な頭部衝撃にさらされた脳ドナーのミエリンタンパク質の減少 」(原文はここ

2 thoughts on “脳震盪を起こすコンタクトスポーツへの子供の参加は制限すべきかもしれない

  1. 若い頃は無頓着に活動していましたが、
    50代後半の現在元気に動けているのは運が良かった、
    思うようになりました。

    スーパー糖質制限1日1食、運動の継続で快適な毎日ですが、
    時々「普通の」ご飯類、お菓子やピザ、パンや麺類など
    ジャンクフード食べると、覿面(テキメン)に気力体力の低下を
    実感します。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      食事改善、糖質制限の効果を知るには、やってみないとわかりません。
      糖質制限をしてみると、いかに食事が影響していたかがよくわかりますよね。

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