糖尿病薬?やせ薬?GLP-1受容体作動薬の副作用 その6 胃腸有害事象

GLP-1受容体作動薬は様々な副作用があります。(「その1」「その2」「その3」「その4」「その5」参照)

今回はまた新しい報告が出ましたので、それを取り上げます。その1やその3で取り上げた腸閉塞や膵炎など、胃腸の有害事象のリスクに関するものです。

2つの主要なGLP-1受容体作動薬であるセマグルチドまたはリラグルチドを減量目的に処方された(リラグルチド4144人、セマグルチド613人)人とGLP-1と関係のない減量薬ブプロピオン・ナルトレキソン(こちらも怪しそうな薬ですが)との比較です。(図は原文より)

上の図は減量薬ブプロピオン・ナルトレキソンを1として様々な胃腸有害事象のリスクを示しています。その結果は膵炎がなんと9.09倍、腸閉塞が4.22倍、胃不全麻痺が3.67倍でした。

減量目的でも胃不全麻痺が3.67倍なので、糖尿病の人は胃不全麻痺がおこりやすいので、GLP-1薬なんて使っていいのでしょうか?また、全身麻酔を受ける際には注意が必要です。週1回のGLP-1を使っている人は特に注意が必要でしょう。なぜなら、通常手術の前日くらいに入院することが多く、1週間前のGLP-1薬が見過ごされている可能性もあります。胃の不全麻痺が起きている場合、全身麻酔時に嘔吐して危険な状態になることがあります。日本の麻酔科学会からはまだ注意喚起がされていませんが、アメリカではすでに注意喚起(ここ参照)が行われています。

ところで、GLP-1薬を処方されている方は、当然このような様々なリスクがあることは説明されているのですよね?痩せるためにここまでのリスクを負って大丈夫でしょうか?また糖尿病の人は糖尿病の治療とはいえ、リスクがあることは知っていなければなりませんし、糖質制限であればこのようなリスクは負わずに糖尿病の改善や減量が可能です。

体に悪いものを食べて、その有害な影響に対して、さらに有害な事象のリスクを負ってまで薬を使うなんて、人間って不思議な生き物ですよね。

 

「Risk of Gastrointestinal Adverse Events Associated With Glucagon-Like Peptide-1 Receptor Agonists for Weight Loss」

「減量のためのグルカゴン様ペプチド-1 受容体アゴニストに関連する胃腸有害事象のリスク」(原文はここ

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