糖尿病でなくても糖化LDLは意外と多い

酸化LDLは非常に危険なLDLと考えられています。しかし、酸化LDLは血中のそこまで多くなく、通常はLDLの1%未満、0.2%程度だそうです。そして、酸化LDLが危険というよりは、LDLの酸化が起きやすい体内環境が危険だと思います。酸化LDLは通常のLDL受容体ではなく、LOX-1などに取り込まれ排除されます。酸化だけでなく、小さなsdLDL、何らかの修飾を受けたLDLも通常のLDL受容体に取り込まれません。

何らかの修飾を受けたLDLは人間にとって異物であり、排除の対象なのでしょう。その排除されたLDLがあまりにも多くなると、心血管疾患のプラークとなると思われます。当然修飾LDLにもコレステロールは含まれているでしょうから、プラークにコレステロールがあることは不思議ではありません。通常の大きなフワフワしたLDLは排除されるのではなく、LDL受容体で正常に取り込まれ、クリアランスされます。

修飾LDLは酸化LDLが有名ですが、もっと注目すべきものがあります。

それは糖化LDLです。今回の研究では非糖尿病の44人の糖化を調べました。(図は原文より)

上の図は糖化アポBの量です。アポBはLDLやVLDLなどのリポタンパクの構成成分です。アポBの基準値は男性73~109、女性66~101mg/dLですが、その数%が糖化しています。そして、LDL1&2よりもLDL3の方が糖化アポBの量は多くなっています。LDL1&2は大きなフワフワしたLDL、LDL3は小さなLDLです。全体のLDL の糖化アポ Bのうち、67.8% が小さなLDL (LDL3) に含まれていたのに対し、大きなフワフワLDL  (LDL1 &2) には 32.2% のみが含まれていました。

上の図はアポBのうちの糖化したものの割合です。全体として4%弱ですが、大きなフワフワしたLDL1&2では1.8%程度ですが、小さなLDLでは17.4%も糖化しています。

つまり、糖尿病が無くても通常の糖質過剰摂取をしている人では4%程度の糖化LDLが存在することになります。酸化LDLよりもはるかに多いのです。そして糖化LDLの多くは小さなLDL、sdLDLです。sdLDLは糖尿病でなくても糖化を受けやすいのです。糖尿病があれば糖化LDLはおよそ2倍になります。(この論文参照)

糖化を減らすには当然、糖質制限しかありません。

そして、sdLDLを増加させるのは糖質過剰摂取、低脂肪食です。(「脂肪の摂取量が少なくなれば小さな危険なLDLが増加する」「低脂肪食は小さな危険なLDL(sdLDL)を増加させる」など参照)

また、食後のTGスパイクがあるとsdLDLは増加しやすくなります。(「食後の中性脂肪スパイクとsdLDLの関連」参照)

いずれにしてもsdLDLを減少させるのも糖質制限です。

つまり心血管疾患の真の原因は糖質過剰摂取だということになります。LDLコレステロール値に目を向けさせて、糖質および糖化から目を逸らさせるようにされているので、多くの人はコレステロールばかり気を付けています。そして、どんどん体は悪くなっていくのでしょう。

糖化を避けることは非常に重要です。糖化を避ける糖質制限は酸化を避けることにもなります。

 

「Glycation of LDL in non-diabetic people: Small dense LDL is preferentially glycated both in vivo and in vitro」

「非糖尿病患者におけるLDLの糖化: 小さく密度の高いLDLは、インビボおよびインビトロの両方で優先的に糖化される」(原文はここ

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