脂質異常症という言葉は一般の人を騙すための言葉です。あまりにもLDLコレステロールが悪いという洗脳が広まっているため、多くの人は脂質異常症と聞くと高LDLコレステロールを思い浮かべるでしょう。もちろん、定義にはLDLコレステロール値が140mg/dL以上というのは入っていますが、それよりも問題なのは、40mg/dL未満の低HDLコレステロールおよび150mg/dL以上の高中性脂肪の方です。
医師の中にはHDLコレステロールが低くても指摘さえしない人もいるでしょう。中性脂肪値がいくつであってもほとんどスルーされることも少なくありません。しかし、LDLコレステロールが少しでも高いと脅してきます。カルトですね。
メタボリックシンドローム定義にもLDLコレステロールは含まれていません。
今回の記事は、後縦靭帯骨化症(OPLL)と脂質異常症との関連についてです。「後縦靭帯骨化症(OPLL)は糖質過剰症候群 その1」では、糖質過剰症候群の一つである内臓脂肪肥満との関連を書きました。
今回の研究では、日本人患者12,740人のデータベースを使用して、CTで頸椎から骨盤領域の評価が可能で、かつ血液検査データが利用可能な人が選択され、最終的に、黄色靭帯骨化症(OLF )167人後縦靭帯骨化症(OPLL)(頸部OPLL28人)、胸部OPLL33人)61人、脊柱靭帯骨化症のない対照群230人が対象です。
脂質異常症の有無によってもグループ分けされ脂質異常あり215人、なし243人でした。(図は原文より、表は原文より改変)
| 変数 | コントロール | OLF | 頸部OPLL | 胸部OPLL |
|---|---|---|---|---|
| 年齢(歳) | 50.2 ± 9.5 | 53.3 ± 10.5 | 54.0 ± 9.6 | 55.2 ± 9.8 |
| BMI(kg/m 2) | 23.0 ± 3.3 | 24.2 ± 3.6 | 26.1 ± 3.4 | 27.3 ± 4.7 |
| 男 (%) | 43.0 | 64.6 | 82.1 | 63.6 |
| 合併症(%) | ||||
| 高血圧 | 14.3 | 22.1 | 30.7 | 33.3 |
| 糖尿病 | 2.1 | 5.3 | 23.0 | 6.0 |
| 喫煙率(%) | 50.8 | 58.0 | 53.8 | 57.5 |
| 空腹時の血糖値(mg/dL) | 98.3 ± 14.8 | 103.8 ± 22.9 | 110.4 ± 27.1 | 105.7 ± 15.5 |
| HbA1c(%) | 5.5±0.4 | 5.7 ± 0.7 | 6.0 ± 1.0 | 5.8 ± 0.5 |
| 20歳からの体重増加(%) | 36.9 | 50.2 | 69.2 | 54.5 |
| 1日あたり少なくとも30分の運動(%) | 18.2 | 18.5 | 11.5 | 18.1 |
| 総コレステロール(mg/dL) | 210.0 ± 36.5 | 208.1 ± 31.4 | 210.4 ± 36.2 | 204.2 ± 31.7 |
| 中性脂肪(mg/dL) | 91.0 ± 52.8 | 108.4 ± 62.9 | 143.6 ± 81.9 | 121.4 ± 51.1 |
| HDL-C(mg/dL) | 65.2 ± 16.0 | 60.9 ± 15.0 | 55.2 ± 14.3 | 55.3 ± 13.6 |
| LDL-C(mg/dL) | 122.6 ± 33.3 | 125.6 ± 30.3 | 128.7 ± 34.6 | 126.4 ± 29.9 |
上の表を見てわかる通り、何らかの脊柱靭帯骨化症がある人はない人よりも、BMIが高く、空腹時血糖も高く、糖尿病の割合も高く、20歳からの体重増加も多いのです。しかし、喫煙率や運動とは関係ありません。
脂質の状態を見ると、総コレステロールやLDLコレステロールは違いがありません。しかし、予想通り、脊柱靭帯骨化症がある人は中性脂肪が高く、HDLコレステロールは低いのです。
もうこれは完全に代謝疾患であることがわかります。
上の図は、骨化タイプ別の脂質異常症の有病率の比較です。(OLF:黄色靭帯骨化症、OPLL:後縦靭帯骨化症、C:頸椎、T:胸椎)図のaで示すように、コントロールと比較すると、どの骨化症も脂質異常症が多いですね。
無理やり、それぞれの骨化症の有無のカットオフ値を設定するのなら、次のようになります。
OLFは中性脂肪98mg/dL、HDLコレステロール59mg/dL、頸椎OPLLでは中性脂肪104 mg/dL、HDLコレステロール57mg/dL、胸椎OPLLのでは中性脂肪114mg/dL、HDLコレステロール53mg/dL
つまり、中性脂肪は100mg/dL以上、HDLコレステロール値は60mg/dL未満になれば危険水域と言えるでしょう。
中性脂肪が上がるのは糖質過剰摂取です。HDLコレステロールが下がるのは糖質過剰摂取です。
もう答えはわかります。脊椎靭帯の異所性骨化は糖質過剰摂取で起こると考えるべきでしょう。
「Strong relationship between dyslipidemia and the ectopic ossification of the spinal ligaments」
「脂質異常症と脊椎靭帯の異所性骨化の間には強い関係がある」(原文はここ)

先生は常々ご指摘のように、中性脂肪を下げる薬がないからノーマークなのでしょうね。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
意図的にノーマークでしょう