冠動脈疾患はLDLコレステロール値ではなくフィブリノゲン値と関連している

狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患は未だにLDLコレステロールが高いことにより起きると信じている人がいます。アテローム性動脈硬化症のプラークの中に確かにLDLコレステロールは存在していますが、存在することと原因であることには大きな乖離があります。なぜ、プラークにLDLコレステロールが存在するのかもわからないまま、LDLコレステロールを低下させることだけが独り歩きし始め、コレステロール悪玉説という神話を作ってしまいました。

スタチンはこのLDLコレステロールを低下させることができるため、原因はLDLコレステロールでなくては困るのです。しかし、以前の記事「LDLコレステロール値は役に立たない」で書いたように、冠動脈疾患の人のLDLコレステロール値は高い人もいれば低い人もいます。全く関連していません。

アテローム性動脈硬化には、実際にはLDLコレステロールではなく、恐らくは凝固系が大きく関わっていると考えられます。家族性高コレステロール血症の人でさえ、凝固系の異常により冠動脈疾患が起きていると考えられています。(「家族性高コレステロール血症から考える 高LDLコレステロールは心血管疾患の原因ではない その2」参照)

ちょっと古い論文ですが、LDLコレステロール値と凝固系のフィブリノゲン値と冠動脈疾患の関係を分析したものがあります。(図は原文より)

薄くて非常に見辛いですが、横軸がフィブリノゲン値、Z軸がLDLコレステロール値、縦軸が6年間で1000人当たりの冠動脈疾患の発生数です。フィブリノゲンの低(low)が236mg /dL未満、中(middle)が236~2.77、高(high) 2.78以上です。LDLコレステロールの低が132mg/dL未満、中が132~163、高が 164以上です。

そうすると、明らかにフィブリノゲンが低群ではLDLコレステロール値と関連が認められません。しかし、フィブリノゲンが高群ではLDLコレステロール値が低くても発生数が増加し、LDLコレステロール値が増加するとさらに発生数が激増しています。

逆に言えば、フィブリノゲンが低値を示す場合、全くLDLコレステロール値は気にしなくて良いことになります。

そうすると、冠動脈疾患の治療ターゲットはどう考えても、LDLコレステロールではなくフィブリノゲンです。

「Fibrinogen and factor VII in the prediction of coronary risk. Results from the PROCAM study in healthy men」

「冠動脈リスクにおけるフィブリノゲンおよび第VII因子 健康な男性におけるPROCAM研究の結果」(原文はここ