ナイアシンと血小板減少

これまでもナイアシンの様々な副作用、毒性を書いてきました。(「ナイアシンは安全か? その1」「その2」「ナイアシンによる眼毒性 その1」「その2」参照)

徐放性のナイアシンは進行性および可逆性血小板減少症に関連しているかもしれません。

今回の報告では、徐放性ナイアシンを20ヶ月から9年間摂取していた4人の男性患者(平均年齢68.8歳)が進行性血小板減少症を発症しました。もちろん中止後血小板数は回復していますが、注意が必要でしょう。平均2,250mg(1,000mg~3,000mg)の用量で、平均59か月間(21.5~120か月)、ナイアシンを毎日服用していました。

日本の血小板の基準値は、施設によりある程度違いはありますが、13万~35万/μlくらいの範囲です。(論文とは単位が異なります。)(表は原文より改変)

年齢60676579
診断血小板減少症、大球性貧血血小板減少症血小板減少症、大球性貧血、ヘモクロマトーシス汎血球減少症
ナイアシンの量 (mg)1,5001,0002,0003,000
ナイアシン摂取日数1,4606441,5173,604
ナイアシン摂取中の血小板最低値(万/μl)1.58.59.310.3
ナイアシン中止後の血小板最高値(万/μl)15.613.719.817.1
血小板が最高値に達するまでの日数4229186297
ナイアシン摂取中のヘモグロビン最低値 (g/dL)10.316.112.910.6
ナイアシン中止後のヘモグロビン最高値 (g/dL)12.316.813.613.3
ヘモグロビンが最高値に達するまでの日数715819297

血小板の数が5万/μl程度以下になると、比較的軽いけがでも出血する可能性があります。下腿の皮膚に小さな赤い点状の出血が多数認められたり、ちょっとした打ち身であざができやすくなることがあります。歯ぐきや鼻から出血する場合や、便や尿に血液が混じったり、女性では月経の出血が多量になることもあります。また、何かで出血した後に出血が止まりにくくなります。血小板数が非常に少なくなると、脳の出血を起こしたりする場合さえあります。

今回の報告では一人は1.5万/μlと非常に重篤で危険な状態です。ナイアシンの摂取を申告していないと、これらの血小板減少の原因を追究するために不必要な検査が行われるかもしれません。場合によっては骨髄生検さえ行われる可能性があります。血小板輸血が必要になるかもしれません。

さらに、今回の4人のうち2人ではヘモグロビンも低下していました。ナイアシン誘発性貧血についてはあまり知られていません。十分に注意してください。

健康のためと思っているサプリメントにより、脳卒中を起こしてしまっては大変です。出血しやすくなったり、青あざができやすくなったり、下肢に点状の赤い出血などが現れた場合にはすぐにナイアシンを中止したほうが良いかもしれませんね。

是非、ナイアシンを摂取する場合は定期的な血液検査を行ってください。

サプリメント

「Correction of refractory thrombocytopenia and anemia following withdrawal of extended release niacin」

「徐放性ナイアシンの中止後の難治性血小板減少症と貧血の補正」(原文はここ

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