乳がん患者の数は世界中で増加しており、死亡率は依然として増加傾向にあります。糖質はがんのエサなので、糖質過剰摂取は乳がんの悪い影響を与えることは容易に想像できます。
今回の研究では、手術後の日本人の浸潤性乳がん患者332人を対象にしています。322人の患者のうち、106人 (33%) が糖尿病で、そのうち糖尿病治療薬が投与されているのは80人、インスリンが導入されているのは20人でした。糖尿病の乳がんの平均年齢は67.6歳、BMIは26.8、糖尿病のないコントロールの乳がんの平均年齢は61.5歳、BMIは23.8と違いがありました。乳がんの糖尿病ではHbA1cが7を超える人が46人いました。
乳がんの遠隔転移を発症するリスクを評価するために、浸潤性乳がん患者296人をさらに分析しました。平均観察期間45か月中に、36人の患者 (12%) が遠隔転移を発症しました。36人のうち、16人(5%)が乳がんで死亡し、 13人の患者は他の原因で死亡しており、5人が他の癌、7人が感染症、1人が心筋梗塞でした。
無遠隔転移生存期間(DMFS)に関連する要因を分析すると下の図のようになりました。(図は原文より)
上の図のaのように多変量解析では、糖尿病、大きな腫瘍サイズ、およびエストロゲン受容体陰性は、DMFSが短くなることに関連する因子でした。
全生存期間(OS)については多変量解析の結果、エストロゲン受容体陽性のみがOS延長に有意に関連する因子でした。
上の図は、糖尿病の状態に応じた浸潤性乳がん患者の無遠隔転移生存期間(DMFS)と全生存期間(OS)です。糖尿病患者の DMFS は有意に短いのですが、OS は短い傾向はありましたが有意ではありません。エストロゲン受容体の状態によってさらに分けると、糖尿病の存在はエストロゲン受容体陰性乳がん患者の転帰に大きな影響を与えました。 DMFSとOSは両方とも有意に短かくなりましたが、エストロゲン受容体陽性患者では統計的な差はありませんでした。
糖尿病患者群を乳がん診断時のHbA1c7.0未満または7.0以上で分けましたが、DMFS、OSともに、HbA1cの高低による有意差は認められませんでした。
糖尿病は、乳がんや他の種類のがんを発症する危険因子です。がんは糖質過剰症候群です。インスリンとインスリン様成長因子(IGF‐1)の活性化は、糖尿病が乳がんの発症を引き起こすメカニズムと考えられています。インスリン抵抗性の増加によって引き起こされるインスリン過剰分泌とIGF産生増加は、糖尿病患者だけでなく糖質過剰摂取者の発がんに関与している可能性があります。以前の記事「乳がんで糖質制限をした方が良い理由」で書いたように、乳がんの細胞にはインスリン受容体が非常に多く存在します。
インスリン抵抗性は乳がんのリスクを増加させます。(「インスリン抵抗性と乳がんのリスクとの関連」参照)
見た目の血糖値がコントロールされている場合でも、通常の食事は糖質過剰摂取なので、インスリンが過剰分泌されています。血中インスリン濃度が高い乳がん患者の予後は不良です。たとえ糖尿病を薬でコントロールしても、その使用する薬の種類によっては乳がんの死亡率が高くなる可能性があります。以前の記事「乳がんに糖尿病薬を使うと死亡率が高くなる」で書いたように、メトホルミンは死亡率を低下させますが、スルホニルウレアやインスリンは死亡率を増加させます。
乳がん診断後に様々なサプリを飲み始める人もいるかもしれませんが、逆に有害である可能性もあります。以前の記事「乳がんに対するサプリメントの有害性」で示したように、全体的にどの抗酸化サプリでも治療前と治療中ずっと使用していた人の方が再発率が高く生存率が低い傾向にあります。特にビタミンAは再発が4倍以上高く、全生存率で3倍以上低いようです。ビタミンB12や鉄、オメガ3脂肪酸サプリもリスクになる可能性があります。
糖尿病の有無に関わらず、基本は普段からの糖質制限でしょう。
「Impact of Diabetes on Patient Outcomes in Breast Cancer Patients」
「乳がん患者の患者転帰に対する糖尿病の影響」(原文はここ)
57歳、糖質制限、1日一食で
昨日5/12(日)
仙台国際ハーフマラソン
制限時間2:30内で完走
(当日朝から水分、塩分のみ摂取)
できました。
いつもありがとうございます。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
お疲れ様でした。
ハーフですから、余裕だったのではないでしょうか?