周産期はうつ病になりやすい時期だと考えられています。この周産期のうつ病にも肥満が関係しています。
まずは、かなりの肥満の女性を対象とした研究です。(ここ参照)18歳から35歳までの、クラス2~3の肥満(BMI≥ 35)62人と正常体重(BMI 18.5~24.9)の妊婦245人を、妊娠初期から出産後1年まで追跡調査を行いました。クラス2~3の肥満の女性は、妊娠初期におけるうつ病の可能性が正常体重群の3.25倍、妊娠中期では3.29倍、妊娠後期では4.00倍、産後6~8週間では7.46倍、産後1年間では1.83倍でした。
同じ対象を使った、周術期の不安についての研究も見てみましょう。(ここ参照)妊娠初期におけるクラス2~3の肥満の不安を呈する可能性は、正常体重群の2.72倍、生後1年では3.30倍でした。それ以外の期間では、不安を呈する可能性の傾向はありましたが、有意な差ではありませんでした。
別の研究も見てみましょう。(ここ参照、表もここより改変)62件の研究と540,373人の女性を対象とした、メタアナリシスです。
参照グループ | プールオッズ比 | |
---|---|---|
産前うつ病 | ||
肥満 | 標準体重 | 1.43 |
太りすぎ | 標準体重 | 1.19 |
肥満 | 太りすぎ | 1.21 |
産後うつ病 | ||
肥満 | 標準体重 | 1.30 |
太りすぎ | 標準体重 | 1.09 |
肥満 | 太りすぎ | 1.20 |
出産前不安 | ||
肥満 | 標準体重 | 1.41 |
太りすぎ | 標準体重 | 1.10 |
上の表のように、産前のうつの可能性は、標準体重と比較して肥満で1.43倍、過体重で1.19倍でした。産後うつも同様に、肥満で1.30倍、過体重で1.09倍でした。産前の不安も肥満で1.41倍でした。
もう一つのメタアナリシス(ここ参照)でも、妊娠前の肥満は、産前うつ病の可能性が1.33倍でした。産後うつの可能性は、低体重で1.71倍、過体重で1.14倍、肥満で1.39倍でした。
肥満や過体重だけでなく低体重も良くないということですね。適切な体重が必要です。
妊娠前から適切な食事をして、肥満にならないようにしましょう。肥満だと、母子ともに様々なリスクが増加します。